
アイ・アール債権回収から通知が届いたら
アイアール債権回収株式会社は、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)です。
アコム株式会社をはじめとする金融機関等の債権について、譲渡や委託を受けて回収業務を行っています。
最終返済日から5年以上経過し、その間に裁判や差押え等を受けていない場合には、消滅時効を援用できる可能性があります。
なお、債権譲渡が行われても時効期間はリセットされません。
アイアール債権回収は、古い未回収債権を取り扱うことが多い一方で、裁判手続を利用して回収を図るケースも見られるため、通知を放置することは危険です。
目次
こんな相談がありました
今日は、【アイアール債権回収株式会社】から<特別和解案のご提案>という書面が届いたとご相談がありました。
相談者の話によれば、元々の契約先は【アコム株式会社】で、契約年月日は1990年とのことでした。
届いた書面には、
「これまでお電話、ご通知等で連絡を差し上げましたが、いまだに解決に至っておりません。」
「今回早期解決を目的として弊社より特別和解案を提示させていただきます。」
と記載されており、
現在の請求額約160万円に対し、80%にあたる約120万円を期限内に一括返済すれば、残額を免除して完済扱いにするという内容でした。
相談者は、
「かなり昔の借金だが支払わなければならないのか」
「和解案に応じた方が良いのか」
「時効になっている可能性はないのか」
と不安になり、当事務所へご相談されました。
より良い解決方法を考えましょう
今回のケースでは、
・契約年月日が1990年
・元金残高約40万円
・遅延損害金約120万円
・請求総額約160万円
という内容でした。
請求額全額を支払うことを考えれば、80%で完済扱いになるという提案は一見悪い条件ではないようにも見えます。
実際に支払資力が十分にあり、早期解決を望むのであれば、和解による解決も一つの方法でしょう。
しかし、今回の相談者からは、
「最後に返済してから5年以上経過している」
「その後アコムやアイアール債権回収と一切連絡を取っていない」
との事情も確認できました。
これが事実であれば、消滅時効援用により支払義務そのものが消滅します。
アイアール債権回収はアコムの子会社であり、アコム等の不良債権の管理・回収を行っています。
そのため、取り扱っている債権の中には、既に消滅時効の要件を満たしているものも少なくありません。
なお、債権回収会社(サービサー)とは、
・法務大臣の許可を受けて設立された債権回収専門会社
・金融機関等から委託または譲渡を受けて回収業務を行う会社
・主として長期間未回収となった債権を取り扱う会社
をいいます。
また、アコムについては、他社と比較すると頻繁に裁判や強制執行を行う傾向はそれほど強くありません。
そのため、長期間放置されている案件では時効が成立しているケースも見受けられます。
もっとも、アイアール債権回収へ債権が移った後は、裁判手続による回収が行われることもあるため、通知を放置し続けることは避けるべきです。
重要なポイント(アイアール債権回収の時効援用が成立する条件)
この<時効援用>は、どうなったら時効なのか、要件は3つだけです。
・5年以上支払をしていない
・5年以上相手方と話をしていない
・過去10年内に裁判や強制執行、財産開示手続きを執られていない
※もちろん、これは一般的な目安でであり実際には個別の事情によって判断が異なる場合があります。
なお、時効の要件を満たしていたとしても、自動的に借金が消えるわけではありません。
民法第145条では、
「時効は、当事者が援用しなければ裁判所がこれによって裁判をすることができない」
と規定されています。
つまり、「時効なので支払いません」という意思表示を行う必要があります。
また、アイアール債権回収からの通知書に記載されている
「債権の弁済期」
などの日付は、必ずしも実際の最終返済日を示しているとは限りません。
特にアイアール債権回収の場合、社内管理上の日付であるケースも見受けられます。
そのため、
・最終返済日
・期限の利益喪失日
・取引履歴
・裁判履歴
などを総合的に確認する必要があります。
今回のケースでは、元金40万円に対して遅延損害金が約120万円発生していました。
一般的な遅延損害金率を前提にすると、少なくとも5年以上は返済が行われていない可能性が高いと考えられました。
もっとも、損害金額だけで正確な時効判断はできませんので、最終的には取引履歴等の確認が必要です。
また、通知書や法的措置予告を放置していると、
・支払督促
・訴状
・強制執行
へ発展する可能性もあります。
裁判所から届いた書類には対応期限がありますので、放置は避けるべきです。
解決
当事務所が代理人としてアイアール債権回収株式会社へ連絡し、取引履歴等を取り寄せて調査を行いました。
その結果、
・最終返済から既に5年以上経過していること
・時効を更新させる裁判手続等が確認できなかったこと
が判明したため内容証明郵便により消滅時効を援用しました。
その結果、時効は成立していたため請求は終了し、その後の督促も行われなくなりました。
アイアール債権回収から通知が届いた場合、
「和解案だから支払った方が良いのではないか」
と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、長期間返済していない借金については、時効で解決できる可能性があります。
通知が届いたからといって慌てて連絡や支払いをするのではなく、まずは時効援用が可能かどうかを確認することをお勧めします。
アイアール債権回収から請求が来た場合のチェックポイント
・最終返済日から5年以上経過しているか
・過去に訴状や支払督促を受け取っていないか
・アイアール債権回収へ直接電話していないか
・債権譲渡日ではなく最終返済日を確認しているか
Q. アイアール債権回収は架空請求会社ですか?
いいえ。法務大臣の許可を受けた正規のサービサーです。
Q. 特別和解案が届いたら支払った方が良いですか?
時効が成立している可能性があるため、まずは時効成立の可能性を検討することをお勧めします。
Q. 債権譲渡されると時効はリセットされますか?
いいえ。債権譲渡は時効更新事由ではありません。
Q. アイアール債権回収は裁判を起こしますか?
ケースによっては支払督促や訴訟を利用して回収を行うことがありますので、通知の放置は避けるべきです。
【会社概要】
・会社名:アイ・アール債権回収株式会社
・本社所在地:東京都中野区本町二丁目46番1号 中野坂上サンブライトツイン16F
・親会社:アコム株式会社
・業種:特定金銭債権の管理および回収
・認可番号:法務大臣許可 第27号
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事務所概要
アルスタ司法書士事務所
お電話 0120-697-096
オフィシャル:https://alsta.jp/
お問い合わせ
執筆者:司法書士 大塚勇輝
アルスタ司法書士事務所 共同代表/大阪司法書士会所属
1985年生まれ。父親の転勤により沖縄で生を受けるも、育ちはほぼ大阪一筋40年。
何故か小さい頃から周辺に法律問題が多く、公務員である父親への反発もあってか、大学卒業後もサラリーマンの道を選ばず司法の世界へ。
2010年司法書士試験合格。自称「個人の顧問法律専門家」。登記・成年後見業務に限らず、相続問題や借金問題など相談者の様々なニーズに応えることに注力している。
☆アルスタ司法書士事務所は、創業10年以上、借金の消滅時効援用や債務整理に関する相談実績が30,000件以上ありますのでお気軽にお問い合わせください。