
オートローン債権の時効とその後の手続きについて-株式会社アプラスにおける実例-
こんな相談がありました
過去に組んだオートローン(自動車やバイク等の車両を購入するためのローン)の未払いについて【株式会社アプラス】から請求が来ているとの相談を受けました。
詳細をお伺いしたところ、かれこれ5年以上は払っていないとのことでしたが、今もその自動車は手元にあるとのことでした。
相談者とすれば、利息・損害金で膨れ上がったローンの残りを払うだけの余裕はなく、当該自動車も車検は通しているものの、既に乗っていないため、可能であれば処分をしたいと考えているようです。
さて、こういった場合にどういった解決方法が考えられるでしょうか。
より良い解決方法を考えましょう
結論を先に申し上げると、オートローンもカードローンや消費者金融からの借入と同様、借入の一種でしかありません。
■時効援用の要件
| 要件 | 内容 | 根拠条文 |
| 時効期間 | 原則5年 | 民法166条1項 |
| 起算点 | 権利を行使できる時から進行 | 民法166条 |
| 援用 | 主張しなければ効力は生じない | 民法145条 |
| 更新 | 裁判・承認でリセット | 民法147条・152条 |
つまり、要件さえ満たしていれば、オートローンも例外なく時効により支払い義務を消滅させることが可能です。
しかし、オートローンには特有の注意点があり、時効が成立したことにより単純に「払わなくていい」で終わらないので注意が必要です。
■オートローンを扱う主な債権者
・株式会社アプラス
・株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)
・株式会社ジャックス
・三菱UFJニコス株式会社
・トヨタファイナンス株式会社
・日産フィナンシャルサービス株式会社
■オートローン債権者から債権譲渡を受けている債権者(一例)
・アビリオ債権回収株式会社
・中央債権回収株式会社
・パルティール債権回収株式会社
・アイ・アール債権回収株式会社
・きらぼし債権回収株式会社
・れいわクレジット管理株式会社
・セゾン債権回収株式会社
・オリンポス債権回収株式会社
・ジャックス債権回収サービス株式会社
通常の借入とは違うため、一部の特殊な債権回収会社(サービサー)の取り扱いに留まるのかと思いきや、実は非常に多くの債権回収会社がオートローンの未払債権を譲り受けていることが分かります。
重要なポイント
① 時効を援用すれば支払い義務は消滅する
オートローンも上記のとおり、要件を満たせば時効が成立します。
② 車両の「所有権」に注意
多くのオートローンは車検証上の所有者がローン会社になっています。
ローン会社とすれば完済するまで車両の所有権を維持することで(ローンを組んだ方は完全な所有権が欲しいだろうということを前提に、)未払いを予防できますし、仮に、未払いが発生した場合は、車両を引き上げて売却すれば、残ったローンの一部または全部を回収することが出来ます。
反対に、完済するまで所有権がローン会社にあるからこそ、購入者はオートローンを組むことが出来るとも言えるため、一概にこのオートローンの良し悪しは判断できるものではありません。
(1)対象となる車両に価値がある場合
一定期間未払いが続くと、ローン会社は引き上げを検討し、査定の結果、価値があると判断すれば実際に車両を引き上げて売却を進めることになります。
これは所有権に基づく当然の権利であるため、未払いが続いている以上、これを止める手段はありません。
(2)対象となる自動車等に価値がない場合
ローン会社による査定の結果、車両を引き上げないケースも少なくありません。
この場合、ローンが未払いの状態のままであったとしても、ローンを組んだ方の手元に車両が残ることになりますが、その後、売却または廃車手続きなどを進めようとすると、所有権がないため処分することが出来ないといった問題が起こります。
前提として、ローンを組んで購入した車両を処分するには、ローン会社に所有権を放棄してもらい、名義変更手続きを進める必要があります。
とは言え、ローンが未払いの状態でローン会社にこれをお願いしようものなら、反対に一括での清算を求められるのみで、名義変更手続きへの協力を得られるはずもありません。
ところが、消滅時効を援用したことによりローンの支払義務が消滅した場合であれば、ローン会社は未払い金の清算を求めることが出来ず、車両の所有権だけを維持するメリットがないため、名義変更手続きに協力的であることが確認されています。
③ 既に引き上げられている場合は要注意
この場合は、ローン会社が車両を売却し、売却代金が返済に充当されていることが考えられます。
当たり前と言えば、当たり前のことですが、これは「弁済」と評価されます。その結果、時効はリセットされることになります。
したがって、オートローンに係る時効期間の計算は、通常の借入よりも注意して検討する必要があると言えます。
④ 安易な連絡はリスク
分割払いの相談、支払いの意思表示、事情説明(待って欲しいという発言など)は「債務承認」と評価されることがあり、これが認められると、時効はリセットされることになってしまいます。
車両を処分したいがために、ローン会社に連絡をしてしまった結果、支払い約束を取り付けられてしまうと、元々要件を満たしていたとしても、信義則違反を理由に、時効が援用出来なくなる恐れがあります。
解決
今回のケースでは、ローン会社に連絡する前に当事務所にご相談に来られており、5年以上支払いがない状況が続いているとのことでした。
加えて、車両が手元にあることから、引き上げによる車両売却・弁済もなく、過去に裁判を起こされこともないと窺える状況でした。
以上から当事務所にて時効成立の可能性が高いと判断することができ、実際に調査したところ、検討したとおり、時効の要件をいずれも満たすものだったため、内容証明郵便をもってアプラスに対して時効を援用しました。
その結果、ローンの支払義務は消滅し、手元の車両については、ローン会社の査定の結果、価値がないものと判断されたことから、ローン会社と交渉の上、車両の所有権を放棄してもらい、相談者名義に変更手続きを行い、適法に処分することができました。
オートローンは、単なる借金問題とは異なり、「車の所有権」という要素が絡むため、対応を誤るとトラブルが長期化する可能性があります。
時効の可能性がある場合でも、車両の扱いまで見据えた対応が必要となるため、自己判断で進めるのではなく、早い段階で専門家へ相談することが重要です。
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事務所概要
アルスタ司法書士事務所
お電話 0120-697-096
オフィシャル:https://alsta.jp/
お問い合わせ
執筆者:司法書士 野間知洋
アルスタ司法書士事務所 共同代表/大阪司法書士会所属
前職は某中小消費者金融に勤務。債務整理に関しては債務者側・債権者側双方で通算20年以上の経験を有する。 現在は権利擁護(成年後見等)に注力。
