
アコムからお取扱い部署変更のお知らせが届いたら
こんな相談がありました
40代男性から、【アコム株式会社】より<お取扱い部署変更のお知らせ>が届いたとご連絡をいただきました。
アコムからの借入を利用したのは相当前のことで、十数年以上返済ができていない状況とのことでした。
通知書面には「債権管理部管理センターに担当部署が変更された」と記載されており、指定期日までに201万円の支払を求められていました。
請求額の大きさを見て驚き、また、部署名の変更という見慣れない文言も不安を煽ったことから、今回ご相談に至ったという経緯です。
より良い解決方法を考えましょう
アコムといえば、言わずと知れた大手消費者金融であり、キャッシングのみならず各種融資の提供を行っています。
本件に関しても、平成12年頃に基本契約を締結し、平成13年に変更契約を行って以降、借入と返済を繰り返し、平成15年を最後に返済が途絶えていることが、通知書面に記載のある<ローンご契約内容>や<最新取引>、「返済期日」などから読み取れます。
問題は、そこから20年以上もの間、支払いが行われていない点です。利率が27%台と高いことも相まって、元金が39万円に対し、利息126万円、遅延損害金36万円と、総額201万円にまで膨れ上がっている状況でした。
さらに今回の書面では、直ちに担当部署へ連絡を求める記載もあり、心理的に焦ってしまいがちですが、こうした書面の内容だけを受けて安易に連絡をしてしまうと、支払いの合意をしてしまう可能性があります。
これにより、長年進行していた時効のカウントを自らリセットしてしまう危険があるため、慎重な判断が必要です。
<お取扱い部署変更のお知らせ>
前略 ご返済期日から弊社所定の期間を経過したため、お客さまの担当部署は債権管理部管理センターになりましたのでお知らせいたします。早速ですが、下記のとおり速やかにご返済をお願い申し上げます。なお、ご返済日に応じて日割り計算による利息または遅延損害金が異なりますので、ご返済前に弊社担当者までご連絡ください。また、ATM(提携先を含む)でのご返済はできませんのでご注意ください。本状と行き違いにご返済がお済みのときはご容赦願います。
・返済期日:平成15年×月×日
・現残債務:201万円
(元金39万/利息126万/遅延損害金36万)
・今回返済依頼額:201万円
区分 ローン(キャッシング)返済期日 平成15年x月x日
<ローンご契約内容> 契約番号xxxxxxxxxx-xx 基本契約日 平成12年x月x日
<最新取引> 変更契約日 平成13年x月x日
貸付日 平成14年x月x日
貸付後残高 49万円
貸付利率(年率) 27.375%
記載されている「返済期日」から逆算すると、未払い期間は20年以上に及びます。
また、書面には「裁判により債務金額が確定した」などの記載はなく、示談日・示談金額等も記載されていないため、裁判手続きが行われた形跡は見受けられません。
※アコムが裁判などの法的手続きをとっている場合は、上記のような「裁判により債務金額が確定した」などの記載や、身に覚えのない「示談日・示談金額」が記載されているケースが多く見受けられます。
重要なポイント
消滅時効が成立しているかどうかは、以下の要件を満たしているかが判断基準となります。
【消滅時効の要件】
・ 5年以上支払をしていないこと
・ 5年以上相手方と連絡を取っていないこと
・ 10年以内に裁判・支払督促・差押え等の法的手続きが行われていないこと
また、民法上の「時効の中断(更新)事由」(時効の計算をリセットさせる効果のある事実を指します)は明確に定められています。
■ 民法147条(裁判上の請求)
訴訟、支払督促、調停などを指し、実際に裁判所を介した請求が行われれば、その時点で時効は中断します。
■ 民法147条(強制執行)
差押え、仮差押えなど。
■ 民法152条(債務承認)
支払う意思を示す、返済について話し合う、一部入金をするなども該当します。
この他、知っておくべき点として、以下のものが挙げられます。
■ 弁護士・債権回収会社への回収委託
■ 債権の管理部門の移動
■ 債権譲渡
この3つは時効中断・更新には該当しません。
今回の相談で言えば、書面に「部署が変わった」と記載されていても、法律上の効果は一切ありません。
解決
当事務所が代理人としてアコムより取引履歴を取り寄せたところ、記載内容と齟齬はなく、20年以上返済も連絡もない状況が確認できました。また、裁判・強制執行などの法的手続きも行われていませんでした。
そこで、内容証明郵便をもって 消滅時効の援用 を行いました。その後、アコムより「今後請求・督促は行わない」旨の回答があり、支払義務が消滅していることを確認の上、併せて、信用情報機関への報告も依頼し、本件は無事に解決となりました。
長年支払いができず不安を抱えている方でも、状況によっては支払わずして解決できる場合があります。書面が届いたからといって慌てて連絡するのではなく、長期間支払をされていないのであれば、先ずは時効援用の余地が無いかどうか、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。
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