AG債権回収株式会社から債権譲受通知書が届いたら

こんな相談がありました

ここ最近多いのが【AG債権回収株式会社】についての相談です。先日も【AG債権回収株式会社】から<債権譲受通知書>が届いたと相談がありました。

書面には、【AG債権回収株式会社】は【アイフル株式会社】から相談者が契約した以下の債権を譲り受けた、今後の問合せ先は【AG債権回収株式会社】となる旨の記載がされているようです。

AG債権回収という名に聞き覚えのある方は少ないかと思いますが、この会社はテレビコマーシャルで「そこに愛はあるんか?」のフレーズでお馴染みの消費者金融アイフルの子会社になります。以前は【アストライ債権回収株式会社】という名称で未払債権の管理・回収業務を行っていましたが、名称を変更し、現在はAG債権回収という名称で業務を行っている、いわゆるサービサーです。

なお、サービサーとは、法務大臣の許可を受けた債権回収会社のことで、主に金融機関や消費者金融等から古い債権を譲り受け、法的に認められた範囲で回収業務を行っている法人を指します。

債権回収会社とは
・法務大臣の認可を得て成立した、<債権回収専門>の株式会社(通称サービサー)
・金融機関等から<委託または譲渡>を受けて債権回収を行っている
・基本的に<不良債権>と呼ばれる回収困難な債権を取り扱っている

アイフルの子会社であることからアイフルへの返済が長期にわたって滞っている場合に、AG債権回収へ債権が譲渡され、その後この会社から請求を受ける、というのがよく見かけるパターンになります。

より良い解決方法を考えましょう

このような古い契約の請求が突然届いた際は、まず届いた書面の内容を正確に把握するところから始めるようにしてください。

<債権譲受通知書> 2025年10月xx日
口座番号 xxxxxx-xxxx
ご契約者名 ○○ 様
前略
弊社『AG債権回収株式会社』は2025年9月x日、ご契約者様がご契約された以下の債権をアイフル株式会社から譲り受けました。
今後のお問合せ先は『AG債権回収株式会社』となります。ご不明な点がございましたら、弊社までご連絡ください。弊社は、「債権管理回収業務に関する特別措置法(通称:サービサー法)」に基づき譲受債権の管理・回収業務を行うものです。
〇本状と行き違いによるご返済の際は、何卒ご容赦願います。
                                                  草々
                  記
【2025年10月x日現在残高】
合計請求額(円) 350000
(内訳)
元金残高(円)60000
利息(円)280000
遅延損害金(円)10000

お振込先
GMOあおぞらネット銀行 アマリリス支店
普通口座 xxxxxxx
口座名義人 AG債権回収株式会社

契約番号 xxxxxx-xxxx-001
当初債権者 アイフル株式会社
利率(%)18.000
遅延利率(%)20.000
債権発生日2001年5月xx日
発生時債権額(円)100000
商品名 極度貸付(カード)
契約種別カードローン(リボルビング)
最終貸付日2002年9月xx日
最終貸付直後残高(円)98312

債権の弁済期 2025年7月x日
債権の譲受年月日 2025年9月x日
債権譲受額 350000
お問い合わせ先
AG債権回収株式会社(法務大臣許可番号第64号)
滋賀県草津市西大路町1番1号
電話番号03-5539-0423 担当○○

やはり最初に目に留まるのは金額の部分だと思います。元金が6万円であるにもかかわらず、利息・損害金を合わせると35万円にも膨らんでいますので、未払状態が相当な年数続いていることが推測されます。

他には、利率は18.0%、遅延損害金は20.0%と記載されていることが確認できます。古い契約の中には利息28%、遅延損害金28%といったものも存在したりしますが、現在は、このような高利率・高損害金率は認めてられておらず、サービサーが債権を譲り受けた際は、必ず法定金利に基づく引き直し計算を行っています。

したがって、サービサーからの請求を受けた時にいわゆる過払い金が残っていることはありません。過去にアイフルに相当返済していたはずだ、あれは過払いだ!とお思いになる方もいるかもしれませんが、仮に過払いが生じていた場合でも、未払金に充当され、その上でまだ残高が存在しているが故の請求だと理解してください。

こうした事情から、過去にアイフルから受けた請求額と相違する可能性がありますが、その理由はこの法定利率への引き直し計算の有無からくるものだということになります。

続いて、日付に着目してみると、アイフルの債権発生日が2001年、最終貸付日が2002年となっていますので、実際の未払期間は20年以上であることが分かります。直接話をするなどして相手方と支払いの約束をした事実や、直近で裁判所から書類が届いていない限り、弁済期が2025年となっているものは一旦無視していただいて構いません。

さて、20年分を超える利息・損害金が付加された結果、未払い金が大きな額に膨らんでいることは上記から明らかになりましたが、では、今更ながらこれを即時に払いたい、と考える方がいるでしょうか。

せめて利息・損害金くらいは負けてもらえないだろうか?と考える方もいらっしゃいますが、安易に連絡してしまうのは相手の思うツボです。連絡をしてしまう前に、未払期間が長期に渡っている場合には、先に<消滅時効>が成立している可能性を疑ってください。

重要なポイント

“消滅時効”とは、民法第166条に規定された時効に関する法律の一種です。

民法166条
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

更に、時効の成立を妨げる事実、行為についても同じく民法上で定められています。(かつては時効の中断と呼ばれていたものが、2020年4月以降はこれを時効の更新と呼ぶようになりました。)

今回の相談では、以下の点に注意する必要がありそうです。

1.債務者による債務の承認
債務者が債務を承認した場合、時効は更新(リセット)されてしまいます。債務の承認とは、債務者が債権者に対して債務の存在を認めることを指し、具体的には以下のようなものがあります。
・債務の一部を支払う行為
・債務を認める書面の取り交わし
・返済猶予を求める行為、会話など

2.支払督促・裁判上の請求(訴訟)
いずれも裁判所を通じた手続きということになりますが、債権者が申立てた時点で、時効は完成が猶予され、いずれも手続きが完了(確定)した段階で時効は更新され、更新後は新たに10年間の支払義務を負うことになります。

この他にも財産開示手続きや、差押え、破産や当事者の合意によって時効の更新や完成猶予されてしまうケースがありますが、上記の債務承認(当事者の合意など)がないという前提であれば、裁判所から書類が届いたようなことがなければ、支払督促・裁判上の請求もないと考えて貰えれば良いかと思います。

【 消滅時効の要件 】
・5年以上支払をしていない
・5年以上相手方と話をしていない
・過去10年内にその借入について裁判所から書類が届いたことがない

解決

当事務所が代理人として、AG債権回収から取引履歴を取り寄せたところ、先の消滅時効の成立を妨げるような事実はなかったことから、内容証明郵便をもって消滅時効を援用しました。これにより、今後の請求・督促はなくなり、無事解決に至りました。

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