神田お玉ヶ池法律事務所から受任通知兼請求書が届いたら

こんな相談がありました

50代男性の方から、【神田お玉ヶ池法律事務所】から<受任通知兼請求書>が届いたと相談がありました。過去にも債権者から通知が届いていたということですが、弁護士から請求が来たとなると、いよいよ無視もしていられないと思い、当事務所に相談に来られたようです。

先ず、弁護士が債権を保有しているということはありませんので、債権回収を委任した、元となる債権者(請求する権利を有する人、法人)がいることが前提です。これを確認したところ、債権者は【きらぼし債権回収株式会社】とのことでした。

お玉ヶ池法律事務所は、東京都千代田区に事務所を構える実在する弁護士事務所です。様々な会社の代理人として未払い債権の回収を担っていますが、日本セーフティー株式会社】が有する家賃保証の未払い金や、【きらぼし債権回収株式会社】が譲り受けた<ディックファイナンス株式会社>、<アイク株式会社>などの消費者金融への未払い金について債権者から委託を受けて通知を出しているケースが多い印象です。

また、委託者であるきらぼし債権回収は、法務大臣の許可を得たサービサーと呼ばれる正規の債権回収専門の法人です。したがって、これは詐欺でも架空請求でもありません。身に覚えがないからと言って請求を無視し続けると、裁判や強制執行(口座や給料の差押え)のリスクが高まることになるため注意が必要です。

一例にはなりますが、きらぼし債権回収は、以下の債権について多く取扱いがあるようです。

●きらぼし債権回収が譲受けている債権
 ディックファイナンス株式会社
 アイク株式会社
 株式会社ユニマットライフ
 新生フィナンシャル(レイク)
 PayPayカード(旧ワイジェイカード)

より良い解決方法を考えましょう

今回届いた『受任通知兼請求書』には、以下のような記載がありました。

冠省 当職は、2024年x月x日付できらぼし債権回収から、貴殿に対する下記債権の管理回収業務を受任致しました。

この記載から、相談者の申告のとおり、お玉ヶ池法律事務所がきらぼし債権回収から委託を受けて通知書を出してきていることが分かります。

次に、債権の内容として、以下の内容が記載されています。

債権者 きらぼし債権回収株式会社
原債権者 ディックファイナンス株式会社
債務者 xxxx
債権種別 貸付債権
ご請求額 金105万円 および付帯する遅延損害金等 一切の債権(x月x日現在) 
連絡期限 2025年x月x日
支払口座 GMOあおぞらネット銀行 アシタバ支店 普通預金
No.7572789 弁護士法人神田お玉ヶ池法律事務所預り金口

必要最低限の情報のみのため、記載から過去の状況などは明らかではありません。また、詳細を知りたい場合には、連絡期限までに連絡またはお問合せフォームから照会するように記載がされていますが、これは一種の『釣り』であり、債務者(請求される側)が連絡してくるように誘導しているとも考えられます。

安易に直接連絡をしてしまうことで、後々の対応に支障をきたす可能性があるため、ある程度、解決までの見込みを立てる前に連絡をするのは控えた方が良いと言えます。

きらぼし債権回収が一番多く取り扱っているであろう、ディックファイナンス株式会社、アイク株式会社、株式会社ユニマットライフは、既に合併により存在しておらず、現在は【CFJ合同会社】という会社になっています。このCFJに変わったのも2003年当時のことなので、CFJに対して、支払いをした覚えがないということであれば、必然的に最後の支払いは20年以上前のことということになります。

これだけ古い債権について請求を受けている場合、言わずもがな最初に検討すべきは、消滅時効の要件を満たしているかどうかではないでしょうか。

重要なポイント

<消滅時効>とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

時効の要件
① 5年以上支払がない
② 過去10年内に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

相談者に確認したところ、少なくともCFJに対して支払いをしたことはないということでしたので、20年以上返済をしていない状況にあると考えられます。

裁判の有無を検討するにあたっては、いくつか注意点があります。

原則として、裁判は訴えられた側(被告)が裁判所からの書類(訴状等)を受け取ることが前提にあり、その後に定められた期日(口頭弁論期日)に実際に裁判が行われます。

もし、訴状等を受け取ったにも関わらず、期日までに被告が答弁書(訴えた側の主張に対する反論文書)を提出せず、期日にも出頭しなかったとしても裁判は進行し、この場合、被告は原告の主張をそのまま認めたものとみなされ、原告の主張を認める判決が出ることになってしまうので、書類は受け取ったが対応していないので大丈夫、ということはありえません。

では、裁判所からの書類を受け取った記憶がないという場合は安心か、と言われるとそうでもありません。訴状等の受取りは、必ずしも当事者本人の受取りが必要ではありません。極論、住所地で署名をして受け取ることのできる人であれば、誰でも構いません。

したがって、同居の親族や友人が代わりに裁判所からの書類を受け取り、そのままになっていた、というようなケースも見受けられます。この場合も、裁判は進行し、知らない間に判決が出てしまっているということもありえます。

 裁判の有無についての注意点

①訴状等を受け取ったことがない
・代わりに訴状等を受け取る親族、友人がいなかったか
・住所地または居所において、不在が続いていたなどの事実がなかったか
 (裁判所からの不在通知をそのままにしていなかったか)

②訴状等を受け取ったことがある
・裁判の期日までに答弁書を裁判所に提出したかどうか
・裁判の期日に出頭したかどうか
・最終的に判決書、取下書などの書類が届いたかどうか

裁判の有無に関しても相談者に確認したところ、過去に裁判所からの書類は受け取ったことはないとのことでした。

但し、ここで更に注意すべきは、きらぼし債権回収の保有する債権は、過去に裁判が行われているケースが多いという点です。あくまで、当事務所の経験則に依るところが大きいのですが、過去数年分の相談を確認したところ、相当な確率で過去10年内に裁判手続きがされていることが分かりました。したがって、きらぼし債権回収に関して、裁判の有無についての判断は慎重に行った方が良いと言えるでしょう。

解決

本件についてからお玉ヶ池法律事務所から取引履歴を取り寄せたところ、予想通り20年以上支払いがないことが明らかになり、同時に、過去に裁判も起こされていないことも明らかになりました。

上記できらぼし債権回収の保有する債権については過去に裁判手続きを行っているものが多く見受けられるとお伝えをしましたが、お玉ヶ池法律事務所へ委託している債権については、裁判を行っていないものも多く含まれているのかもしれません。

そもそも、未払い債権の全件について裁判を行うことは、時間・費用・労力のいずれの点から見ても現実的ではありません。したがって、きらぼし債権回収からの請求だからと言って、消滅時効の援用による解決を諦める必要もありません。

今回のケースでは、その後、内容証明郵便をもってお玉ヶ池法律事務所に対して消滅時効を援用しました。その結果、支払義務は消滅し、今後の請求・督促がないことを確認し、無事解決に至っております。

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