駿河台法律事務所から催告書が届いたら

こんな相談がありました

60代男性の方から、<弁護士法人駿河台法律事務所>から『催告書』なる書面が届いたと相談がありました。

駿河台法律事務所は、【合同会社SP Asset Power】【ニッテレ債権回収株式会社】【中央債権回収株式会社】【セゾン債権回収株式会社】【札幌債権回収株式会社】などから委託を受け、未払い債権の請求・回収を行っている、東京都千代田区にある実在する弁護士事務所です。

届いた催告書には、“前略 ニッテレ債権回収株式会社より当法律事務所に委託されました下記債権の”という文章から始まっていることから、今回はニッテレ債権回収から委託を受けて請求をしてきていることが分かります。

このニッテレ債権回収は、“債権回収株式会社”という名のとおり、他の会社から債権を譲り受け、回収の委託を受け、請求を行っている会社になります。言わずもがな、ニッテレ債権回収は自社でも請求・回収を行っていますが、状況に応じて、その一部を駿河台法律事務所や、その他の弁護士事務所に依頼しています。

また、全国に拠点を設けていることから、他の債権回収会社と比べても、非常に多岐に渡る債権を取り扱っている会社であり、今回のように、ニッテレ債権回収が駿河台法律事務所に未払い債権の請求・回収が委託されているケースの一例として、以下の会社の債権が挙げられます。

【佐銀信用保証株式会社】
【株式会社アプラスインベストメント(旧 全日信販株式会社)】
【ケーエフケーツー株式会社】
【三井住友トラストクラブ株式会社】
【株式会社ビューカード】
【道銀カード株式会社】

※上記はいずれもニッテレ債権回収が各々の会社から譲り受けた債権でした。

なお、債権回収株式会社とは、法律で定められた要件を満たした会社であり、この要件を満たしていない会社は債権回収会社と名乗ることが出来ず、また、業務として債権回収を行うことが出来ません。(これに違反すると、弁護士法違反となり、刑事罰を受けることになります。)

※サービサー(債権回収会社)とは、
 「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)に基づき、法務大臣より営業許可を受けた民間の専門会社を指します。
金融機関等から委託を受け、または譲り受けて、特定金銭債権の管理回収を行うことを主な業務としています。

より良い解決方法を考えましょう

上述のとおり、駿河台法律事務所は実在する弁護士事務所であり、ニッテレ債権回収は法務大臣の許可を受けた正規の会社ということですから、今回の請求は詐欺や架空請求の類ではありません。

また、届いた催告書には、“支払がなくまた何らのご連絡がない場合は、支払意思がないものと判断し、然るべき法的手続きを検討させていただく”と記載がありますので、放っておけば、いずれ裁判が起こされ、給料や口座の差押えを受けることにもなりかねません。

究極は払うか、払わないかという話ですが、元を正せば支払義務のあるものなので、当然支払うべきだ、とも言えますが、一般的に5年も10年も未払いが続いていた債権について、いざ払おうと思った時には、残っていた元金額の2倍や3倍、それ以上に膨れ上がっているケースも少なくありません。では、払いたくても払えないといった場合も含めて、他に解決方法がないものでしょうか。

先ずは、届いた『催告書』に目を通していきましょう。

 ■債権の表示
 債務者名:xxxx
 原債権者名:株式会社アプラスインベストメント
 債権者名:ニッテレ債権回収株式会社
 残元金:180,000円
 利息等:9,000円
 他費用:0円
 合計債務額:189,000円(令和x年x月x日現在)

契約当時の相手方が株式会社アプラスインベストメント(旧 全日信販株式会社)であることは記載から明らかになりましたが、その他については何ら有用な情報がありません。いつまで払っていたのか、本来いつ払うべきものだったのかも明らかではありません。

こうなってくると記憶に頼る部分が大きくなってしまいますが、相談者によれば、【全日信販】との契約については記憶があるものの、少なくともアプラスインベストメントへ支払いをしたことはなく、全日信販への支払いも20年以上していないとのことでした。

また、今回の催告書が届くまで、それこそ20年も音沙汰がなく、最初は何のことかさっぱり分からなかったということですが、【全日信販】からは過去に裁判を起こされたことがあるとの申告を受けました。

いずれにせよ、長期間にわたって未払いが続いていることは分かりました。また、『催告書』の中で、『然るべき法的手続きを検討させていただく』とあることから、前回の裁判以降、新たに裁判や、強制執行の手続きはとられていないであろうことが窺えます。もし、これが事実と相違ないようであれば、消滅時効を援用することで払わずして解決できる可能性がありそうです。

重要なポイント

『時効』とは、一定期間状況が変わらない場合に、当事者の主張により、権利の得喪を確定させる民法で定められた法律効果を指します。時効には取得時効と消滅時効とがありますが、このうち消滅時効は元々存在していた権利が消滅する場合のルールを定めています。

【 消滅時効の要件 】
・5年以上支払をしていない
・5年以上相手方と話をしていない
・過去10年内にその借入について裁判や強制執行、財産開示手続きを執られていない

但し、消滅時効は援用(意思表示を)しなければ、その効果は確定しません。

駿河台法律事務所から届いた書面からは『いつまで払っていたか』もしくは、『最終の支払日』かは明らかではありませんが、相談者によれば20年以上払っていないということでした。また、今回は過去に裁判があったということでしたが、詳細をお聞きしたところ、裁判で決まった内容にしたがって毎月支払っていたが、途中で支払いが止まってしまったということでした。

ここで注意すべきは、裁判が確定すると、進行していた時効はリセットされてしまうということです。これは時効期間が経過した後、消滅時効を援用していなかった場合も同じです。後になって、裁判を起こされた時点では時効だったと主張することは出来ません。

更に、リセットされた時効は、次に時効になるまでには最低でも10年の期間が必要とされていますこの点については、10年経てば無条件に時効になるのかと言われると、そうではありません。10年経つまでに新たに裁判や、判決に基づく強制執行の手続きがとられた場合は、またしても時効はリセットされることになります。

解決

駿河台法律事務所に取引履歴の開示を求めたところ、当事務所に開示を求めた翌日に『辞任通知』が届きました。


駿河台法律事務所がニッテレ債権回収から委託を受けている件については、当事務所のような司法書士または弁護士が介入した場合、駿河台法律事務所は、代理人としての地位を辞任するケースが非常に多く見られます。そもそも駿河台法律事務所は、ニッテレ債権回収から書面での請求やSMSでの督促、入金管理のみを受託しており、代理人とのやり取りは委託業務外であることが窺えます。

その後、ニッテレ債権回収から取引履歴を取り寄せたところ、30年以上前に全日信販との間で裁判上の和解をしていたことが明らかになりました。

しかしながら、その後20年以上支払いがなく、今日まで時効を中断・更新させるだけの措置を講じていなかったことから、内容証明郵便をもってニッテレ債権回収に対して消滅時効を援用しました。

結果、元金・利息を含む一切の支払義務は消滅し、今後の請求・督促がないことをニッテレ債権回収の担当者に確認し、解決に至りました。

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