
株式会社ティー・アンド・エスから訴状が届いたら
こんな相談がありました
今回は、東京簡易裁判所から書類が届いたとご相談を受けました。裁判所から届く書類は多岐に渡りますが、書面のタイトルを確認しますと、<訴状>となっており、別の書面で〇月〇日に裁判所へ出頭してください、となっているとのことでした。
<訴状>に記載されている、原告の名称を訪ねたところ、【株式会社ティー・アンド・エス】となっており、また、訴状の右横には<譲受債権請求事件>と記載されているようですので、ティーアンドエスが別会社から買い取った未払い債権について裁判を申立てた、ということで間違いなさそうです。
ティーアンドエスから裁判を起こされる覚えもなければ、東京の裁判所に呼び出されても遠方で出頭することは出来ず、どうしたら良いか分からないと、半ばパニック状態でご連絡をいただいたようです。
より良い解決方法を考えましょう
先ずは、ティーアンドエスなる会社がどんな会社なのかを知っておく必要があるでしょう。 ホームページを見ますと、貸金業者登録番号 東京都知事(7)第29447号となっており、登録を受けた貸金業者であることが分かります。自社でも貸付を行っているようですが、我々の認識では、<古い債権>を買い取って請求をしているケースの方が多い会社ではないでしょうか。
ティーアンドエスは、主に、以下の会社未払債権を買い取って請求をしてきます。
アエル株式会社(日立信販)
オリエント信販株式会社
株式会社クリバース
タイヘイ株式会社
株式会社日本プラム
この他にも、サンクファイナンス、クレセントリース、プライム、ユニワード、エイシン産業、プロマイズ、センチュリーなどあちこちの未払債権を買い取っていることが確認されています。
さて、ティーアンドエスから届く訴状は、どこの会社から買い取った場合でも概ね同じ書式を流用していることが多いようです。
訴状のうち、<請求の趣旨>と記載されている箇所には、相手方の求める内容が簡潔に記載されています。ティーアンドエスは<他社の未払い債権>を買い取っているわけですから、ここには、未払いの元金額と未払が発生した当時からの利息・損害金を支払え、という記載がされているはずです。
次に、<請求の原因>という箇所が見つかると思います。請求の原因には、今回の請求に係る契約発生から現在に至るまでの事実、経過が記載されることになります。今回の相談では、以下のとおり記載がありました。
契約日 平成16年x月x日
契約内容 訴外オリエント信販会社の被告xxxxに対する金銭消費貸借契約
利息の定めあり 利息年29.2%、遅延損害金年29.2%
約定日 毎月xx日
特約 分割金の支払いを1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を喪失する
連帯保証人 なし
貸付及び返済状況
初回貸付日 平成16年x月x日
平成16年x月x日以降の返済・貸付の詳細は別紙計算書記載のとおり
請求原因事実
被告は平成17年x月x日に支払うべき返済を遅滞し同日の経過により期限の利益を喪失
本債権は訴外株式会社プロマイズに譲渡され、原告は本債権を平成23年x月x日に訴外株式会社プロマイズから売買により譲り受けた。 被告に対し催告するが平成19年x月x日以降の返済なし
他の会社の訴状に比べても非常に簡素で分かり良い訴状だと言えますが、裁判を申し立てるにあたって必要な事実は必要十分に網羅されていることになります。
更に、必要な部分だけをピックアップしますと、平成16年に貸付を受け、返済を続けていたが、平成17年に返済が滞ったことを以て期限の利益を喪失、平成19年以降の返済がないということのようなので、『消滅時効』を援用することで、その支払義務を消滅させる可能性がありそうです。
重要なポイント
消滅時効とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。
●消滅時効
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない
相談者の申告によれば、過去にこの件で裁判を起こされたことはなく、未払いの間にティーアンドエスやその間の会社と直接コンタクトもとったことがないとのことでした。
なお、相談者の申告が事実と相違ないかどうかは、この時点では確実ではありません。ただ、裁判では、主張しなければ裁判所も債権者(原告)も出てきていない事実について取り上げることはありません。むしろ、何も主張しなければ原告の請求が認められてしまうだけです。
古い話なので、記憶と事実が相違することも少なくありませんが、諦めた時点でその後は執拗な請求・督促が繰り返され、強制執行による給料や口座の差押えを受けることになりかねません。もしかしたらと思った時点で、直ぐにご相談ください。
解決
本件については、当事務所が代理人として、答弁書の中で消滅時効を援用したところ、ティーアンドエスはこれを争わず、裁判の期日を待たずして裁判は取下げられました。
裁判手続きが取り下げられたことと、消滅時効の成否は別個で考える必要があるため、裁判が取り下げられた後、裁判外でも、ティーアンドエスとの間で時効更新事由が無いことや以降の請求・督促も行わないことを確認の上、本件は無事解決に至りました。
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