ダイレクトワン株式会社から催告書が届いたら

こんな相談がありました/ダイレクトワン

60代男性から、ダイレクトワン株式会社】から<催告書>が届いたとご連絡をいただきました。

ダイレクトワンという会社名には聞き覚えがないものの、催告書に記載されているニコニコクレジットという会社には覚えがあり、確かにこの会社から借入をしていたとのことでした。

しばらく請求が来ていなかったので、てっきり完済したものと思っていたところ、急に今回のような書面が届いたため、驚いて相談に来られたという経緯のようです。

より良い解決方法を考えましょう

このダイレクトワンという会社は、古くは会社名を【丸和商事株式会社】といい、ニコニコクレジット】というブランド名で消費者金融業を展開していました。その後、民事再生法の適用などがあり、スルガ銀行の子会社として、【ダイレクトワン株式会社】の名で今なお消費者金融業を行う、いわゆる老舗の貸金業者ということになります。

届いた<催告書>には以下の内容が記載されていました。

<お支払い期日以降ご請求金額>
お支払日(当社着金日) 遅延損害金  ご請求金額
2024年〇月10日     1,473,738円  1,851,680円
2024年〇月11日     1,473,911円  1,851,853円
2024年〇月12日     1,474,085円  1,852,027円

2024年〇月19日     1,475,299円  1,853,241円

未払い金について利息・損害金を付けて一括で返済するよう催告をしてきていますが、ご丁寧に支払いをする日によって支払総額が変動する旨まで記載されています。

法律上は一日ごとに損害金が発生しますので、表に記載されているとおり、支払いが遅れると、日に日に完済金額は増えていきますが、ダイレクトワンとしては、これを見て、焦って支払ってくれることを期待しての記載であると考えられます。

続いて、契約内容について確認をしていきましょう。

<ご契約内容>
・支払期日 2001年8月
・契約日 2000年6月
・融資金額 50万円
・現在融資残高 317,385円
・融資日 2000年6月
・契約利息利率 29.200%
・契約損害利率 29.200%

先ず、この29.200%という利率・損害金率については現在の法律では認められていません。厳密に言えば、その当時から認められていたわけではありませんが、利率の上限を定めた『利息制限法』と『出資法』との間に乖離があったことから、利息制限法に定められた利率以上での貸付が暗黙の了解で許容されていた時期がありました。

上限金利を超えて払い過ぎた金利は、俗に言う『過払い金』となり、相手方に返還を求めることができるものですが、元金額に満たない過払い金は、元金の返済に充当されるに過ぎません。本件については、取引そのものが1年ほどで、且つ、その当時で元金額が31万円程残っていることから、返還を求めるほどの過払い金の発生は見込めません。

具体的に計算をしてみますと、
31万円×29.2%(当時の金利)= 9万520円
31万円×18%(法律上の上限金利)= 5万5800円

仮に、契約通りに1年返済を続けていたとしても、過払い金は4万円程度しか発生していませんので、本件は過払い金だけで解決を図ることはできないことが明らかです。

では、どのような解決方法があるでしょうか?

<ご契約内容>の他の記載からは、2000年に契約をし、2001年7月までは支払いがあるものの、2001年8月以降の支払いが止まっていることが窺えます。既に最後の支払いからは20年以上を経過している点においては、消滅時効が成立している可能性が十二分に考えられます。

重要なポイント

<消滅時効>とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

【時効の要件】
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

先ほど検討したとおり、<ご契約内容>の記載からも5年以上支払いがないことは明らかです。これは、<お支払い期日以降ご請求金額>の遅延損害金や、ご請求金額からも経過年数を推計することが可能です。

過去に裁判や相手方と直接コンタクトをとっていないかどうかについては、相談者の記憶に頼る部分が大きくなりますが、少なくとも、裁判の有無については、郵便局員から直接手渡しで裁判所からの書類を受け取ったことがなければ、一先ず過去に裁判はなかったと考えていただいて良いかと思います。

解決

相談者に支払停止から相談に至るまでの状況を改めて確認したところ、過去に裁判所からの請求も、直接ダイレクトワンと連絡をとったりしたこともないという申告を受けたため、消滅時効の要件は満たしていると判断し、内容証明郵便をもってダイレクトワンに対して消滅時効を援用しました。その後、ダイレクトワンの担当者との間で、今後の請求・督促がなく、支払義務が消滅していることを確認し、信用情報機関への報告を促し、今回の件は解決に至りました。

なお、ダイレクトワンはJICCやCICといった信用情報機関にも加盟している貸金業者です。いまさら過去の未払いについて請求されたとしても時効だろうと思って放っておけば、この信用情報上の記録は、未払いが残っている状態のまま、その後も残り続けることになります。このような記載がある状態では、新たなカードやローンの審査に落ちてしまう可能性が高いと言えます。

更に、ダイレクトワンも主張を受けるまでは、時効債権として処理をする義務がないことから、時効の要件を満たしている場合でも裁判を起こしてくることが多々あります。これすらも放っておけば、最終的には給料や銀行口座の差押えにまで繋がる恐れがあります。

この記事を読んで、ダイレクトワンから請求を受けていらっしゃる方は、どのような対応が必要か、先ずはお気軽に当事務所にご相談いただけたらと思います。

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