
オリンポス債権回収から強制執行予告通知が届いたら
こんな相談がありました/オリンポス債権回収
50代女性より【オリンポス債権回収】から<強制執行予告通知>が届いたと相談がありました。
強制執行を行うには、原則として、その前段階で裁判等が確定している必要があります。何もないところからいきなり強制執行できるのは滞納税金についてくらいのものです。 詳細をお伺いしたところ、確かに裁判所からは何度か書面が届いていたことがあるとのことでしたが、いずれも受け取ったものの、そのままにしていたとのことでした。
今日は、強制執行を受けるリスクと、前提としての裁判等があった場合でも、例外な解決方法があることを交えてお話したいと思います。

より良い解決方法を考えましょう
そもそも『強制執行』とは、一般に差押えのことを指します。差押えの対象は預貯金、勤務先の給料、不動産が主ですが、退職金や自宅の動産、所有自動車なども例外ではありません。公的年金や生活保護費は差押えの対象外ですが、一度口座に入金された後はただの預貯金という扱いになり、当然に差押えの対象となります。
また、強制執行の手続きによって時効はリセットされてしまうため、一度手続きをされてしまうと、完済に至るまで、財産を差押えられ続けることになりかねません。
★では、今回の相談について、どういった解決方法が考えられるでしょうか。
一つは、まだ強制執行の『予告』段階なので、手続きを申し立てられてしまう前に、相手方と交渉し、一括または分割払いにて支払いをすることです。和解が整い、和解内容のとおりに支払っているうちは強制執行手続きをされることはありません。厳密には『できない』ではなく、『しない』というだけのことですから、支払いが滞ると、当然ながらその後は差押えを受ける可能性が高くなります。
なお、和解交渉を行うには交渉力が必要です。交渉以前に、相手方に連絡する勇気も必要でしょう。こういったシーンに不慣れな場合は、弁護士・司法書士による和解交渉、いわゆる『任意整理』手続きを依頼することで解決を図ることが可能です。お支払いの方向で検討されているのであれば、当事務所でも対応している業務ですので、お気軽にご相談ください。
★さて、和解交渉以外の解決方法はどうでしょうか。
届いている書面からは、元々は平成13年に<ディックファイナンス株式会社>と契約し、借入したものであること、平成20年に<有限会社ラックスキャピタル>に債権譲渡、同日にオリンポス収へ回収の委託をしていることが分かります。
相談者によれば、少なくともラックスキャピタルやオリンポスへ支払いをしたことはなく、直接の連絡もとったことはないとのことでした。また、裁判所からの書類はいずれも【支払督促】という書面で、届いていたのはここ2、3年のことのようです。
未払いの期間が長期にわたっているという点において、消滅時効の可能性がありそうですね。
消滅時効とは、幾つかの要件を満たしている場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。要は、1円も払わずに支払義務を免れることができる制度だということです。その要件とはざっくり言うと下記のとおりです。
●時効
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない
上記のうち、①③については問題なくクリアしていると考えられますが、今回のケースでは②については問題がありそうです。原則として、裁判等は“その裁判が確定すると時効がリセット”してしまいます。【支払督促】も裁判手続きの一種ですので、これが確定すると時効がリセットされてしまいます。
ということは、今回の件は消滅時効の要件を満たしていないため、時効を援用することで解決することは出来ない、という結論になりそうですが、実はここに例外が存在します。
重要なポイント
ここでポイントとなるのは、『支払督促には既判力がない』ということです。既判力というのは、一度裁判所で判断された事実について、後になって蒸し返すことができないというルールを指します。
通常の裁判は、当事者の主張立証がなされた上で言い渡されるものなので、請求に対する反論の機会等の手続保障があることが前提ですが、支払督促の場合は債務者を審尋せず、主張立証が制度上予定されていないため、通常の裁判と同じだけの手続保障がありません。こういった背景から支払督促には既判力がないと解されています。
この点については、宮崎地判令和2年10月21日でも、「本件仮執行宣言付支払督促は、これが確定した後でも既判力がない以上、この確定前に完成した本件貸金債権の消滅時効を援用することにより、本件貸金債権が確定的に消滅することとなる」と判示し、支払督促は判決と異なり既判力がないとしています。また、この裁判において、貸金債権の消滅時効の援用は、信義則に反するとはいえない」として信義則違反の主張も排斥しています。
長々と難しい話をしました。つまり、債権者から時効期間経過後に支払督促が申し立てられてこれが確定したとしても、消滅時効を援用することで解決を図ることができるケースがあるということです。一方、時効期間が経過する前に支払督促が申し立てられ権利が確定した場合は、10年が経過しなければ時効は完成しませんので、この違いには注意しなければなりません。
今回の相談における支払督促は2、3年前に書類を受け取ったというお話でした。ということは、平成20年から数えても10年以上過ぎてからの支払督促ということになります。したがって、上記のとおり、まだ消滅時効を援用することができる可能性があるということになります。

解決
当事務所が相談者より依頼を受け、オリンポスから関係資料を取り寄せたところ、申告の通りの事実関係でした。具体的には、債権者への支払いは平成15年が最後で、また、支払督促も3年前に行われたもので、その後、強制執行もまだ執られていない状況だったことから、早急に内容証明郵便にて消滅時効を援用しました。その後、オリンポスの担当者に対して支払い義務は消滅しており、今後の請求・督促がないことを確認し、本件は無事解決に至りました。
上述のように時効は、当事者が援用しなければ、期間の経過とともに勝手に債権者から請求が来なくなるということはないため、時効の権利を積極的に主張する必要があります。このため、当事務所にて改めて内容証明郵便をもってクレディアに対して消滅時効を援用し、これにより今後の請求・督促は確定的になくなり、本件は無事解決に至りました。
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