
債務承認について
目次
こんな相談がありました
消滅時効について検討する際、必ずと言ってよいほど出てくるのが「債務承認(さいむしょうにん)」の問題です。
「もう5年以上払っていないはずなのに、時効が使えないと言われた」
「請求書に対して連絡しただけなのに、時効がリセットされたのか」
このようなご相談は非常に多く、消滅時効を検討するうえで、債務承認の理解は避けて通れません。未払いが長期間続いている場合でも、債務者の行動次第では、時効を援用できなくなってしまうことがあるため、注意が必要です。
より良い解決方法を考えましょう
消滅時効は、一定期間権利を行使しなかった債権者の権利は保護に値しないといったような趣旨で法律上認められた正当な権利と言えます。しかし、その一方で、「自分はまだ返済義務がある」と債務者自身が認めた場合まで、時効による保護を与えるのは相当ではない、という考え方もあります。
そのバランスを取るために設けられているのが、この「債務承認」というものです。
消滅時効を検討する際には、単に「何年払っていないか」だけでなく、その間にどのようなやり取りや行動があったのかを丁寧に確認する必要があります。
重要なポイント
民法152条(債務承認)
時効の利益を受ける者が、時効完成前に債務を承認したときは、時効は更新される。
ここでいう「債務の承認」とは、債務者が債権の存在を認める意思表示や行為を指します。
典型的な例としては、
・一部でも返済をした
・分割払いの相談をした
・支払う前提で金額や期限の確認をした
といった行為が挙げられます。
重要なのは、「明示的に認めたかどうか」だけでなく、「行動全体から債務を認めたと評価できるか」という点です。たとえば、
「今は払えないが、いずれ支払います」
「減額してもらえれば払えます」
といった発言は、債務の存在を前提としているため、債務承認に該当する可能性があります。
一方で、
「本当に自分の借金なのか分からない」
「時効ではないかと思っている」
といった、債務の存在を争う姿勢での連絡であれば、直ちに債務承認になるとは限りません。
ただし、実際の判断は文脈ややり取りの経緯全体を踏まえて行われるため、軽率な対応は避けるべきです。
債務承認と時効援用の関係
債務承認があると、その時点でそれまで進行していた時効期間はリセットされ、新たに時効期間が進行することになります。
そのため、あと数か月で時効が完成するはずだったケースでも、債務承認があれば、再び5年を待たなければならなくなる可能性があります。
請求書が届いた際に、安易に電話をしたり、書面にサインをして返送したりすることで、知らないうちに債務承認をしてしまう例も少なくありません。
消滅時効を援用するかどうかを検討している段階では、対応方法そのものが結果を左右することもあるのです。
解決
当事務所では、消滅時効の援用を検討する際、単に期間だけを見るのではなく、
・債務承認に該当する行為がないか
・その評価が法的に妥当か
を慎重に検討しています。
時効が成立していない場合でも、他の解決方法が見つかることはあります。
「連絡してしまったが大丈夫か」
「これは債務承認になるのか分からない」
そうした段階でも構いません。
早めにご相談いただくことで、取り得る選択肢は広がります。手元の資料やこれまでの経緯を一緒に整理し、時効援用を含めた最適な解決策をご提案いたします。
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事務所概要
アルスタ司法書士事務所
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お問い合わせ
執筆者:司法書士 大塚勇輝
アルスタ司法書士事務所 共同代表/大阪司法書士会所属
1985年生まれ。父親の転勤により沖縄で生を受けるも、育ちはほぼ大阪一筋40年。 何故か小さい頃から周辺に法律問題が多く、公務員である父親への反発もあってか、大学卒業後もサラリーマンの道を選ばず司法の世界へ。 2010年司法書士試験合格。自称「個人の顧問法律専門家」。登記・成年後見業務に限らず、相続問題や借金問題など相談者の様々なニーズに応えることに注力している。