
オリンポス債権回収から強制執行予告通知が届いたら(2)
こんな相談がありました
50代女性から、【オリンポス債権回収株式会社】から<強制執行予告通知>が届いたとのご相談をいただきました。
強制執行というワードに不安を覚えご連絡をいただいたようですが、相談を受ける側としては、この段階で任意整理や自己破産、個人再生などの解決方法が頭に浮かぶところです。
なお、強制執行を行うためには、原則としてその前段階で裁判等が確定し、「債務名義」が取得されている必要があります。何もない状態から、いきなり強制執行ができるのは、滞納税金などのごく例外的なケースに限られます。
詳細をお伺いすると、過去に裁判所から書面が届いたことはあるものの、いずれも受け取ったまま対応せず、そのままにしていたとのことでした。
強制執行予告通知の内容(全文)
(以下が、実際に届いた強制執行予告通知の全文です。)
〒062-0020 北海道札幌市豊平区月寒中央通7丁目 6番20号JA月寒中央ビル
【法務大臣許可番号:第41号】
オリンポス債権回収株式会社 サービシング事業部 管理課
TEL011-856-9200 FAX011-856-1812
<担当者:山内雅貴>
強制執行予告通知
当社は、受託した下記債権につき、貴殿に対し支払の催告及びご連絡を重ねてお願いしその後、法的手続を申し立てて債務名義を取得するに至りました。しかしながら、本書面発行日現在に至るまで、貴殿よりお支払あるいはご連絡を頂けない状態が続いていることは誠に残念であり、先にお伝えしました通り貴殿に対する強制執行の準備をしております。
もっとも、当社と致しましては話合いによる解決が望ましいと考えており、支払方法等に関する御相談を承る用意があることもお伝えした通りです。つきましては、法的手段による解決を回避し、これ以上の事態の悪化を防ぐためにも、下記【本状発行日時点残高】欄に記載の請求債権合計額のお支払について、本状到着後、速やかに上記連絡先担当者までご連絡下さいますよう改めてお願い致します。
なお、ご連絡が無い場合は前述のとおり管轄裁判所へ給与・動産・不動産等を差し押さえるべく、強制執行を申し立てることになりますので予めご承知おきください。※お支払、あるいはご連絡と本状が行き違いになった場合はご容赦下さい。
【契約に関する表示】
主債務者:xxxx
原債権者:新生フィナンシャル株式会社
債権者:北海道札幌市豊平区月寒中央通7丁目6番20号JA月寒中央ビル
譲受人:オリンポス債権回収株式会社
債権発生日:平成24年1月16日
原契約番号:xxxxxxxxx
発生時の債権額:25万円
契約の種類:金銭消費貸借契約
契約年利率:18.000%
遅延損害金年率:20.000%
【債権の譲渡に関する表示】※利息制限法所定の計算です。
譲渡人から譲受人への債権譲渡日:令和4年3月17日
債権譲受時残高合計:70万円
内訳)
元金 25万円
未収利息・損害金 0円
裁判費用 0円
利息 4000円
遅延損害金 44万6000円
【請求債権に関する表示】※本状発行日時点
最終約定弁済期日 令和5年3月6日
請求債権合計 82万円
内訳)
元金 25万円
未収利息・損害金 0円
裁判費用 0円
利息 4000円
遅延損害金 56万6000円
【振込口座】
三井住友銀行 ベイサイド支店
普通口座No67002779
口座名義 オリンポス債権回収株式会社
【会社概要】
・会社名:オリンポス債権回収株式会社
・本社所在地:東京都港区芝大門二丁目4番8号 JDBビル
・本社TEL(代表):03-3437-1100
サービシング事業部 管理課
・所在地:北海道札幌市豊平区月寒中央通7丁目6番20号 JA月寒中央ビル
・番号例:011-856-9966、011-803-9003
・担当者例:山内雅貴、森政揮、星恵子
サービシング事業部 管理1課
・番号例:011-856-9199
・担当者例:原幸生
サービシング事業部 管理2課
・番号例:011-856-9200
・担当者例:廣瀬裕如
※通知書や督促状により、記載される電話番号が異なる場合があります。
より良い解決方法を考えましょう
■強制執行予告通知が届いた時点で分かる重要なこと
この通知文には、極めて重要な記載があります。
「法的手続を申し立てて債務名義を取得するに至りました」
この一文から分かるとおり、強制執行予告通知が届いた時点で、すでに債務名義は取得・確定していると考えれられます。なお、債務名義とは、確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書、調停調書、そして仮執行宣言付支払督促などを指します。
■債務名義があると、時効はどうなるのか
一般論としては、債務名義が確定すると時効期間はリセットされ、時効期間は5年から10年に伸長されてしまいます。そのため、「もう裁判が終わっているなら、時効での解決は無理なのでは?」と諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、ここで注意すべき重大な例外があります。
重要なポイント
■オリンポスが多用する「支払督促」の落とし穴
オリンポス債権回収株式会社が利用する法的手続の多くは「支払督促」です。
支払督促は裁判手続の一種ですが、通常の判決とは決定的に異なる点があります。
支払督促には「既判力」がありません。
既判力とは、一度裁判所で確定した判断を、後から蒸し返せない効力をいいます。
通常の訴訟は、当事者の主張立証を前提とした手続保障があるため、既判力が認められます。
一方、支払督促は、債務者を審尋しない、主張立証が制度上予定されていないという性質上、既判力がないと解されています。
この点について、宮崎地判令和2年10月21日は、次のように判示しています。
「本件仮執行宣言付支払督促は、これが確定した後でも既判力がない以上、この確定前に完成した本件貸金債権の消滅時効を援用することにより、本件貸金債権が確定的に消滅することとなる」
さらに、「貸金債権の消滅時効の援用は、信義則に反するとはいえない」として、債権者側の反論も排斥しています。
つまり、時効期間が経過した”後”に支払督促が確定していた場合でも、時効は援用できる、ということです。
ただし、債務名義の前提が既判力のない支払督促であったとしても実際に強制執行(差押え)が行われてしまうと、その時点で時効はリセットされてしまうので、注意が必要です。
解決
今回の相談では、
・支払督促は2~3年前
・元の取引からは10年以上経過
・強制執行はまだ実行されていない
という状況でした。
そこで当事務所が訴訟代理人として資料を精査した結果、消滅時効を援用できる可能性が高いと判断できたため、早急に内容証明郵便にて時効援用を行い、オリンポス側と協議の上、支払義務が消滅していること、今後一切の請求・強制執行を行わないことを確認し、無事解決に至りました。
まとめ
・強制執行予告通知が届いた時点で債務名義は取得・確定している。
・一般的に時効はリセットされるが支払督促の場合は、リセットされない可能性がある。
・前提が支払督促であったとしても、強制執行が行われると、時効はリセットしてしまう。
・裁判所から書類が届いたことがあるからといって すぐに諦める必要はない。
”裁判所から届いた書類が何か”
”強制執行に移る前かどうか”
ここが、時効で解決できるか否かの分かれ目になります。
裁判所から書類が届いた、または、過去に届いたことがある場合でも、決して放置せず、早めに専門家へご相談ください。
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事務所概要
アルスタ司法書士事務所
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オフィシャル:https://alsta.jp/
お問い合わせ
執筆者:司法書士 野間知洋
アルスタ司法書士事務所 共同代表/大阪司法書士会所属
前職は某中小消費者金融に勤務。債務整理に関しては債務者側・債権者側双方で通算20年以上の経験を有する。 現在は権利擁護(成年後見等)に注力。
