株式会社しんわから訴訟決定のご通知が届いたら

こんな相談がありました

今回は、【株式会社しんわ】から「訴訟決定のご通知」という書面が届いたというご相談をいただきました。

書面の内容を確認すると、かつて利用していたローン契約の未払いについて請求を行っているもので、元金10万円ほどに対して、利息や遅延損害金を含めると総額で60万円を超える請求額となっていました。

長らく請求もなかったため放置していたところ、突然の通知に驚かれたようで、更に、「法的手続きに移行するとお客様の社会的信用が著しく失墜することとなります。」と記載されていたため、不安になってご相談に至ったとのことでした。

より良い解決方法を考えましょう

届いた通知書には、以下のとおり記載がされていました。

契約年月日 2002年x月x日
契約額 500000円
最終貸付日 2004年x月x日
約定期日 2007年x月x日
契約利率 18.000%
遅延利率 26.280%
最終貸付時残高 99536円

株式会社しんわは中堅規模の消費者金融で、現在も貸金業登録をしていますが、古い債権の回収についても熱心に行っています。過去の利用者に対して、長期間の経過後に請求を再開するケースも多く見受けられます。

相談者の話によれば、15年以上支払をしておらず、また、裁判を起こされた記憶も、電話などの直接の連絡も一切なかったとのことでした。

このような状況にある場合は、「消滅時効の要件」を満たしている可能性があるため、その要件と照らし合わせて検討していく必要があります。

■消滅時効の要件
1.5年以上支払をしていない
.過去10年以内に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
3.5年以内に相手方と直接連絡(電話・面談など)をしていない

これら3つの条件をすべて満たしている場合は、内容証明郵便をもって「消滅時効の援用」をすることにより、法的に支払義務を消滅させることが可能です。

先ほどお伺いしたとおり、相談者によれば15年以上支払をしておらず、また、裁判を起こされた記憶も、電話などの直接の連絡も一切なかったとのことでしたので、上記のいずれの要件も満たしているため、消滅時効を援用することでその支払義務を消滅させることが出来る可能性が非常に高いことが推測されます。

ただし、株式会社しんわは比較的裁判手続に積極的な債権者でもあります。

消滅時効の援用をしないまま放置しておくと、「訴状」が裁判所から届くケースも少なくありません。また、裁判が確定してしまうと、時効は一度リセットされてしまい、時効期間が5年から10年に伸長する上、その後は差押えのリスクも生じることになりますし、現実に10年以上経過した判決を債務名義として差押えされたケースもあります。

余談ですが、裁判を起こされた際に裁判所から届く書類は、<特別送達>と呼ばれる、特殊な郵送方法で書類が届きます。具体的には、署名の上、郵便局員から手渡しで受け取る郵送方法のため、この形式で裁判所から書類を受け取ったことがなければ、原則、裁判は起こされていないと考えて良いかと思います。

原則と来たら例外がつきものです。以下の場合は、手渡しで借主本人が受け取らずとも書類が届いたものとして、もしくは、別の郵送方法で郵送され、裁判手続きが進んでしまう可能性があるので、注意が必要です。

  • 同居人や親族が代わりに受け取ってしまった場合
    (裁判所からの書類の受取りは、必ずしも本人である必要がありません。)
  • 郵送された場所に居住している、不在または受取りを拒否している場合
  • 調査しても所在不明の場合(但し、支払督促の場合を除く)

重要なポイント

時効の要件を満たしているとしても、「援用」しなければ時効の効果は発生しません。

法律で定められた権利であっても、こちらから正式に主張しない限り、裁判所や債権者が自動的に時効を認めてくれることはありません。

また、株式会社しんわは、通知書や電話で「債務額を減額しての一括完済」「利息を減額しての分割返済」「賞与を加算しての分割返済」などを提案してくる場合がありますが、安易に連絡を取ったり、少額でも支払ったりすることは非常に危険です。

なぜなら、民法第152条に定められている通り債務の承認(=支払いや支払いの約束)は時効を更新させる効果があるため、これまで積み重ねてきた時効期間がリセットされてしまうためです。

一度時効がリセットされると、再びそこから5年のカウントが始まることになります。

たとえば、「電話で支払方法を相談しただけ」や「1,000円だけ払った」という行為でも、時効の成立が遠のいてしまう恐れがあるということです。。

●対処法と手続きの流れ
まず、届いた書面や請求内容を確認し、契約時期・最終返済日を特定します。
裁判や支払督促が過去に行われていないかを確認します。
時効の要件を満たしていれば、内容証明郵便により正式に消滅時効を援用します。

内容証明郵便は「いつ・どんな内容を送ったか」を法的に証明できる唯一の方法であり、株式会社しんわのように訴訟対応を得意とする債権者に対しても、確実に意思を伝える手段として最適です。

解決

今回のご相談について、当事務所が代理人として株式会社しんわに対し取引履歴を開示請求したところ、相談者の申告どおり最後の支払いから20年近く経過しており、また、過去に裁判等の履歴も確認されませんでした。

そのため、内容証明郵便をもって正式に消滅時効の援用通知を送付したところ、株式会社しんわからは、「今後の請求・督促は行わない」との回答を得て、無事に解決に至りました。

同じことの繰り返しにはなりますが、消滅時効の要件を満たしている可能性があるのであれば、安易な連絡や部分的な支払いは債務承認となるリスクがあるため、焦って判断してしまわず、当事務所としては、先ずは専門家に相談してから対応することを強くお勧めします。

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