中央債権回収株式会社から法的手続き開始予告通知が届いたら

こんな相談がありました

【三菱UFJニコス株式会社】から債権の譲渡を受けたとする【中央債権回収株式会社】から<法的手続き開始予告通知>が届いたとの相談がありました。

いまだに中央債権回収なる会社から請求を受ける覚えはない、これは詐欺だ!とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも債権(請求することができる権利)は特別な事情がない限り売り買い(債権譲渡・譲受)をすることができます。

そして、消費者金融やクレジットカード会社が不良債権(諸般の事情により回収見込が薄い債権)をサービサー等に売却し処分することは、現在進行形で一般的に行われていることです。

※サービサー(債権回収会社)とは、
 「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)に基づき、法務大臣より営業許可を受けた民間の専門会社を指します。
金融機関等から委託を受け、または譲り受けて、特定金銭債権の管理回収を行うことを主な業務としています。

但し、前回<中央債権回収から債権譲渡譲受通知が届いたら>という記事の中でも記載しましたが、債権譲渡の事実が譲渡人から通知されていることが前提となるため、仮に、事実として債権譲渡の通知を受け取っていないのであれば、一方的に債権を譲り受けたと主張する相手方からの請求に応じる必要はありません。

(債権譲渡の対抗要件)

第467条

1.債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

2.前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

とは言え、中央債権回収は法務大臣の認可を受けた、サービサーと呼ばれるプロの債権回収会社です。債権譲渡に係る基本的な手続きを飛ばしている可能性は低いと言わざるを得ず、債権譲渡の通知を受け取っていないというよりは、受け取った書面を読まずに捨てている可能性を疑った方が良いかもしれません。

今回の相談については、過去にも中央債権回収から通知書自体は届いていたということなので、この中に債権譲渡の通知が含まれていたと考えるのが妥当なところでしょう。

より良い解決方法を考えましょう

中央債権回収は、三菱UFJニコス株式会社、トヨタファイナンスや三井住友カード(旧セディナ)のほか、数は少ないかもしれませんが、三菱オートクレジット・リース株式会社、株式会社日産フィナンシャルサービスなどから不良債権の譲渡を受けているようです。

また、譲り受けた債権の一部を更に弁護士法人駿河台法律事務所に回収委託しているケースもよく見かけます。

さて、冒頭でもお伝えしたとおり、今回の相談も三菱UFJニコス株式会社から債権譲渡を受けたものでした。

届いてた書面の内容を要約すると、以下のとおりになります。

①2024年xx月xx日付けで三菱UFJニコス株式会社から債権を譲り受けた
②2025年xx月xx日までに金60万xx円を一括して返済せよ
③支払がない場合は、訴訟手続きの上、強制執行を行う
④一括返済できない場合は、連絡・相談を

つまり、期限までに払わなければ裁判をして、給料や銀行口座を差押えますよ、と言っているわけです。これだけ読むと、驚いてしまい、とりあえず連絡して相談を、と考えてしまうのも無理ありませんが、その前に落ち着いてよく考えてください。

(1)法的手続き開始予告ということであれば、まだ裁判はされていない
(2)ニコス(または中央債権回収)への支払いは少なくも積もっても10年はしていない
(3)そもそも最後に支払ってからニコス(中央債権回収)と話をしたことがない

もし、上記のような状況であれば、消滅時効を援用することで、そもそもの支払義務を消滅させることができるかもしれません。

重要なポイント

消滅時効とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

【 消滅時効の要件 】
・5年以上支払をしていない
・5年以上相手方と話をしていない
・過去10年内にその借入について裁判や強制執行、財産開示手続きを執られていない

改めて相談者に状況を確認したところ、まさに先の(1)~(3)にそのまま当てはまるような状況でした。

なお、今回の件に限らず、この後、債権者には連絡した方が良いか?という質問をよくいただきますが、このような状況で、債権者と直接の連絡をとるメリットは一切ありません。むしろ、直接の連絡をとることで、その気がなくとも言質をとられ、債務承認の主張を受け、せっかくの消滅時効がリセットされるリスクがあるので、相手方を気遣うなどということは不要です。

解決

中央債権回収株式会社から資料を取り寄せるなどして調査を行ったところ、時効を中断・更新させるだけの債務名義(裁判上の手続)もなく、未払い期間は既に10年を超えていたため、内容証明郵便にて消滅時効を援用しました。

その結果、支払義務は消滅、今後の請求・督促がないことを中央債権回収株式会社に確認、無事解決に至りました。

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