
アイ・アール債権回収株式会社から訴訟等申立予告通知が届いたら
こんな相談がありました
今日は、【アイ・アール債権回収株式会社】から<訴訟等申立予告通知>という書面が届き、『訴訟等』というワードに驚いて連絡をしたけれど、どうするのが良いかという相談をいただきました。
アイアール債権回収は自社で貸付を行っていませんので、未払債権を他の会社から譲り受けまたは委託を受けて請求をしてきていることになります。元々の借入先について確認したところ、【アコム株式会社】からの借入とのことでした。
ご存知の方も多いかと思いますが、アイアール債権回収はアコムの完全子会社です。したがって、アコムが保有する未払債権はほぼ間違いなく、最終的にはアイアール債権回収へ回されることになります。
このほか、アイアール債権回収はアプラス、三菱UFJ銀行、スルガ銀行、三井住友トラストクラブといった、クレジットカード会社や銀行の未払債権を譲り受けて請求してくることもあります。
より良い解決方法を考えましょう
先ず初めに、書類のタイトルが<訴訟等申立 “予告” 通知>ということですから、まだ裁判や強制執行は起こされていないと考えるべきだと言えます。
もっとも、これら債権回収会社が送付してくる書面のタイトルや文面というのはその大部分が定型のものと考えられるため、『予告通知』だからと言って、全てについて裁判や強制執行がないかと言われればその保証はありません。
いずれにせよ、焦って相手方に連絡をする必要はありません。
後述のとおり、仮にこの未払債権が<消滅時効>の要件を満たしていた場合、相手方と話した内容によっては、時効を主張すれば足りた(返済しなくて済んだ)ものが、一転、返済をしなくてはならないものになってしまう可能性があります。
いつものように届いた書面の内容を確認していきましょう。
【譲受債権内容】
ご契約者様 xxxx
債権譲渡人 アコム株式会社
現在の債権者 〒102-0083 東京都千代田区麹町3丁目4番地 トラスティ麹町ビル7F
アイ・アール債権回収株式会社
法務大臣許可番号第51号 電話番号03-5215-6511
包括登録年月日 2001年
最終貸付年月日 2007年
最終貸付後残高 38万円
債権の弁済期 2024年8月
譲受年月日 2024年9月
譲受債権金額 151万
当初の約定利率 26.500%
先ず、債権の弁済期というのは、本来、支払予定日が記載されることになりますが、アイアール債権回収の場合、他の相談者・依頼者宛の通知書においても債権の弁済期が2024年8月、譲受年月日が2024年9月となっているケースが多く、あくまで内部的な何かしらの日付である可能性が高いため、実際にその時期に支払いの約束または支払いをしたような記憶がないのであれば、気にする必要はないと考えられます。
次に、最終貸付年月日が2007年ということなので、以降は返済のみを行っていることになりますが、約18年に渡って完済に至っていないことが分かります。仮に2007年の最終貸付当時から未払が続いていたとして、延滞利率を18%で計算すると、利息・損害金は概ね126万円となり、元金額と併せると計164万円の未払債権になる計算ですが、今回の請求金額は158万円となっていましたので、少なくとも10年以上は支払がないことが窺えます。
10年以上未払いの状況が続いており、且つ、裁判や強制執行も現状では起こされていない可能性が高いのであれば、<消滅時効を援用>することで、その支払義務を全額免除されるかもしれません。
重要なポイント
<消滅時効>とは、民法第166条に規定された時効に関する法律の一種です。
民法166条
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
更に、時効の成立を妨げる事実、行為についても同じく民法上で定められています。
1.債務者による債務の承認
債務者が債務を承認した場合、時効は更新(リセット)されてしまいます。債務の承認とは、債務者が債権者に対して債務の存在を認めることを指し、具体的には以下のようなものがあります。
・債務の一部を支払う行為
・債務を認める書面の取り交わし
・返済猶予を求める行為、会話など
今回の相談では、アイアール債権回収に連絡をしてしまっているので、いわゆる『債務承認』についても検討する必要がありそうです。
なお、他の弁護士や司法書士のホームページにはネットの記事を見ていると、『債権者と連絡してはいけません!』というような文言をよく見かけます。連絡そのものがダメだという風にも見えますが、正しくは、相手方とした会話の内容によって、時効がリセットされる可能性があるということになります。
幸い、アイアール債権回収との会話の中で返済猶予を求めた事実はなく、支払いの合意に至るようなやりとりもなかったようなので、債務承認はないという判断で問題はなさそうでした。
1.支払督促・裁判上の請求(訴訟)
いずれも裁判所を通じた手続きということになりますが、債権者が申立てた時点で、時効は完成が猶予され、いずれも手続きが完了(確定)した段階で時効は更新されることとなり、更新後は新たに10年間の支払義務を負うことになります。
つまり、これらの時効の要件を簡潔にまとめると以下のようになります。
【 消滅時効の要件 】
・5年以上支払をしていない
・5年以上相手方と話をしていない(債務承認の事実がない)
・過去10年内にその借入について裁判所から書類が届いたことがない
解決
当事務所が代理人として、アイアール債権回収に連絡をし、取引履歴を取り寄せたところ、相談内容からこちらが想定したとおり、10年以上支払がなく、また、債務承認についての主張もなく、この他裁判等も行っていなかったため、内容証明郵便をもって消滅時効を援用しました。これにより、今後の請求・督促はなくなり、無事解決に至りました。
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