
期限の利益の喪失について
こんな相談がありました
消滅時効についてのご相談をいただくことが非常に多くなってきました。
回収が困難となった「不良債権」は請求すらされなくなることもありますが、多くの場合は債権回収会社(通称:サービサー)や、他の会社に債権譲渡されることになります。
いずれの場合でも、未払いの債務が時間の経過とともに勝手に消えてなくなることはありませんし、下手に放っておけばより悪い方向へ進んでしまうこともあるため、解決できるタイミングがあるのであれば、早期に解決しておくべきだと言えます。
より良い解決方法を考えましょう
当たり前のことですが、借りたものや利用したものは返しましょう。元を正せば、返済を前提として借りているものなので、何とか返さずに済む方法ばかり考えるのは間違いだと言わざるを得ません。
ただ、何かしらの事情があって「不良債権」と化し、利息・損害金が元金額の何倍にも膨れ上がってしまっているような場合の救済措置はあって然るべきだと考えます。
当事務所では、解決の手段の一つとして、「消滅時効」を援用することを提案していますが、そもそも消滅時効とはなんぞや、どうなったら時効なのか、自己破産や個人再生と比べてどうなのか、回数を分けて少しずつ解説をしていきたいと思います。
重要なポイント(期限の利益の喪失)
民法166条
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
債権(さいけん)とは、請求する権利を指します。消費者金融やクレジットカード会社が返済を求める権利も「債権」ということになります。
このような権利(債権)は、時効によって消滅するとされています。消滅するということは、債権者(=請求する側)は請求をすることが出来なくなり、債務者(=返済する側)は返済する必要もなくなるということです。
さて、どういった場合に「時効」になるのでしょうか?
前提として覚えておくべきは「5年」という期間でしょう。厳密には権利を行使することができること(返済を求めることができること)を知ってから、ということですが、貸金のプロである消費者金融やクレジットカード会社が請求できる状況にあるかどうかを知らないわけがありませんから、よほど特殊な事案でない限りは、「権利を行使することができる時から」と読み替えて支障ありません。
では、この「権利を行使することができる時から」とは、いつのことを指すでしょうか。ここの判断を間違えると、場合によっては、せっかく積み上げた時効期間もリセットされてしまうような事態にもなりかねないので注意が必要です。
答えは、「契約内容」による、です。無責任なように感じるかもしれませんが、返済方法一つをとっても毎月〇日払いなのか、毎週〇曜日払いなのか、また、振込なのか、現金払いなのかももちろん契約次第ですし、いつまでに返済をしなければならないか、ということも結局のところ契約次第ということになります。
ところで、契約で定められた期限は、債権者からすれば、期限までは請求ことができないという制限になりますが、期限までは返済をしなくて良いという見方をすると、期限は債務者の利益と言えることから、契約上の期限は「期限の利益」と呼ばれます。
そして、この期限の利益を失った時から、時効期間の計算がスタートすることになります。
なお、消費者金融で一番多いのは、「返済を1回でも怠った時は残額を一括して返済しなければならない」とされているケースです。毎月予定されている返済日の一つでも遅れた場合は、返済日の翌日から、残額について一括して返済しなければならないということですが、この場合は、残額全てについて期限の利益を喪失したことになるため、時効の計算は比較的簡単だと言えます。
これに対し、育英会などの奨学金の場合は、「返済を1回でも怠った時は残額を一括して返済する」という項目が契約内容に含まれていないことが多々あります。毎月の返済日だけが定められている場合、当月の返済日に遅れた分は時効期間の計算がスタートしますが、翌月以降の返済分はまだ期限の利益を喪失していないため、何らの影響がありません。
そうすると、5年以上払っていないという話があったとしても、そもそも10年かけて毎月返済を予定しているようなものであれば、残りの5年分はまだ期限の利益を失っていないので、時効期間の計算がスタートしておらず時効にはなり得ません。
この他にも、クレジットカード会社の中には、「支払いが遅れた場合に、20日以上の期間を定めた催告を行い、その期限に返済がない時は、残額を一括して返済しなければならない」という契約内容のものがあります。こうなってくると、5年以上払っていないという申告だけでは時効かどうかの判断をし尽くせるものではありません。
いずれにせよ、届いた請求書の中には「支払予定日」や「期限の利益の喪失日」、「返済期日」と記載されたヒントが隠されている可能性があるので、決して破いて捨ててしまうといったことのないよう資料として残しておかれることをお勧めします。
解決
当事務所では、長期に渡って未払が続いている債務の解決方法の一つとして「消滅時効」の援用を提案していますが、ご相談の中には当然ながら時効の要件を満たしていないものも存在します。
時効でなくとも、別の解決方法がないわけではありません。
先ずは、もしからしたら時効かも、時効はないかもしれないけれど話を聞いてみようくらいの感覚でお問合せをいただければ結構です。
手元の資料や記憶から明らかにならない部分を検討し、相談し、調査を行うことで、時効を含めた適切な解決案をご提案できることをお約束します。
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