株式会社グリーンアイランドから法的手続き移行のご通知が届いたら

こんな相談がありました/グリーンアイランド

今日は【株式会社グリーンアイランド】から<法的手続きの移行のご通知>が届いた方からの相談を紹介したいと思います。

早速余談ですが、長く時効援用のお手伝いをしていますと、このグリーンアイランドと【株式会社クレディア】という未払金の回収を行っている別の会社とが、同一本店所在地に会社を構えており、且つ、請求書面の様式なども非常に似通っていることが分かってきます。

具体的な事情は分かりませんが、何らかの関係があるのでしょう。これらはネット検索からも分かる情報ですが、このような事実が明らかになると、ついつい詐欺の類ではないか?と勘繰りたくもなります。しかしながら、いずれの会社も詐欺業者でもなければ架空請求を行っている会社でもありません。

一応、正規の消費者金融から未払い金の譲渡を受け、その回収を行っているため、届いた請求書面を無視し続けていると、いずれ裁判や強制執行(給料や口座の差押えなど)を受けることになりかねないため、注意が必要です。

かと言って、いきなり相手方に直接連絡してしまうのはリスクが伴うものです。後述のとおり、要件を満たしており、消滅時効が援用できる状況にあるにも関わらず、相手方との会話の中で『〇〇を理由として支払うことができない』『〇〇円なら払える』など、債務の存在を前提とした交渉等を行ってしまうと、時効が完成し本来なら払わずに済んだはずの未払金を払わなければならない状況に陥る可能性があります。

先ずは、きちんと届いた書面の内容を確認するところから始めましょう。

より良い解決方法を考えましょう

グリーンアイランドはユニマットやオリエント信販などの倒産や廃業した会社からの債権を譲り受けて請求してきている会社です。このことからも、そもそもがかなり古い債権の請求をしてきているということを頭に入れておくと良いでしょう。

グリーンアイランドから届いた<法的手続きの移行のご通知>には以下の内容が記載さていました。

前略
 貴殿が弊社に対し負担する以下記載の債務につきましては、未だ解決に至っておりません。弊社と致しましてもこれ以上看過出来る状況になく、今後法的手続き等への移行を検討せざるを得ません。

書面のタイトルからも分かるとおり、未払いの状況が続いているので、そろそろ裁判を経て、強制執行(給料や口座の差押えなど)を行うと通知してきています。実際に裁判を起こされるまでにどれほどの猶予があるかは定かではありませんが、解決に向けて急いで対応した方が良いのは火を見るよりも明らかです。

■ご請求内容
ご請求金額 金360万円
ご請求金額の内訳 令和7年x月x日時点の内訳です。実際のご入金日により異なります。
未清算金額分 *****円
前回不足金額分 12万円
利息金額分 300円
損害金金額分 320万円
元金分 28万円

■ご返済口座
三井住友銀行 ○○支店 普通預金 口座番号0000000 
口座名義 カ)グリーンアイランド

■ご融資の契約内容
お客様名 xxxx様
会員契約番号 xxxxx-xxxxx
最終貸付年月日 平成4年2月
最終貸付時残高 300,000円
約定利息年利率 36.500%
損害金年利率 36.500%
債権譲受年月日 平成24年11月
債権譲受金額 28万円

■本書作成時点での残存債務の額
約定返済日 平成6年1月
残存債務の額 360万
残存債務の内訳 
未清算金額分 *****円
前回不足金額分 12万円
利息金額分 300円
損害金金額分 320万円
元金分 28万円

これらの情報に加え、当初の債権者との借用証書が同封されている場合もあります。今回の相談では、平成4年当時のユニマットとの契約書の写しが同封されていました。

最終貸付日である平成4年2月時点での元金額は30万円とのことですが、通知を出した時点で既に360万円まで膨れ上がっていることが分かります。今では考えられないことですが、当時の年利・損害金率が共に36.500%ということなので、未払いが続くと3年を待たずして倍額になる計算になります。最終貸付日以降の返済がないと仮定すると、30年以上は払っていないことになることから、理屈の上では300万円以上の請求を受ける自体は止むを得ません。

但し、この36.500%という利率・損害金率は法律上(この元金額であれば当時の利息制限法上の上限年利率は利息18%・遅延損害金36%)認められていません。利率の上限を定めた『利息制限法』と『出資法』というものの間に乖離があったことから、利息制限法に定められた利率以上での貸付が暗黙の了解で許容されていた時期がありましたが、このいわゆるグレーゾーン金利については、出資法の改正により上限利率が利息制限法に揃えられたため、現在ではグレーゾーン金利での貸付はなくなったと言えます。

なお、損害金率とは、返済が滞った際に付加される、通常利率プラスαの賠償利率のことを言います。損害金利率についても利息制限法内に定められているので、現時点の条文を少し見てましょう。

(賠償額の予定の制限)
 利息制限法第4条
1.金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

(賠償額の予定の特則)
 利息制限法第7条
1.第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

【 損害金利率の上限 】
 (原則)利息の1.46倍
 (例外)消費者金融からの借入に対しては年20%

いずれにせよ、今回の相談においては、約定返済日平成6年1月となっていることからも、30年以上返済のないことが窺えます。現実に平成6年1月以降に1円も返済しておらず、裁判等を起こされることもなく、これまで相手方と支払の約束など債務の存在を承認したような事実がなければ、消滅時効を援用することで解決を図ることが出来ることになります。

重要なポイント

<時効>とは、一定期間の経過をもって権利の取得または喪失を定めた民法上のルールです。先ほどの消滅時効の要件をすべて満たしている場合は、漏れなくその債務を消滅させることが可能です。

【 時効の要件 】

① 5年以上返済がない状況が続いている

② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない

③ 債務承認を行っていない

未払いの期間については先ほど検討したとおりですが、<法的手続きの移行のご通知>というタイトルや内容から察するに、裁判手続きは未だ行われていないものと考えられます。

<債務承認>とは、書いて字のごとく、時効の利益を受ける者(債務者)が、時効期間の満了までに、相手方(債権者)に対して、その権利の存在を認める行為を指し、これは時効の存在を知っているか否かを問いません。このような事実があるときは、時効はリセットされてしまうことになります。

たとえば、『〇月に〇〇円支払う』や、『〇〇を理由に支払えない』、『〇〇まで待って欲しい』など、債務の存在を前提とした発言であったり、『和解書面の取り交わし』、『(1円でも)返済の事実』は全て<債務承認>ということになります。

解決

当事務所が代理人として、グリーンアイランドに連絡し、取引履歴を取り寄せたところ、5年以上支払いがなく、相手方との間で時効を中断・更新させるだけの裁判手続きや債務承認の事実はなかったこということが確認できました。

その後、内容証明郵便をもってグリーンアイランドに対して消滅時効を援用し、これにより今後の請求・督促は確定的になくなり、本件は無事解決に至りました。 

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