クレディアから訴状が届いたら

こんな相談がありました/クレディア

関西にお住いの50代女性から、株式会社クレディア】から裁判を起こされて、<訴状や口頭弁論期日呼出状>が届いたどうしたら良いだろうかというご相談がありました。

10年以上は未払金に関する請求を受けていなかったようですが、少し前からクレディアから督促状が届くようになり、先日は<法的手続きの移行のご通知>という書面が届いていたとのことで、それが現実のものになったということでした。

現存する金融会社については、合併や分割、事業承継さらには社名変更などをしており、借入当時の会社とは所在地も社名も全く違うというケースがよくあります。恐らくクレディアという会社名を聞いても覚えのないという方がほとんどではないでしょうか。

クレディアは、この社名になる前はフロックスという社名でした。事業承継で引き継いでいる債権はステーションファイナンス、イッコー、プリーバ、トライトなど多岐にわたります。また、三和ファイナンス(SFコーポレーション)等の破綻した貸金業者から債権を譲り受けていることもありますので、この辺りの会社名を聞いてピンとくる方もいらっしゃるかと思います。

より良い解決方法を考えましょう

期日呼出状によれば、裁判が開かれる日時は3か月後でした。

訴状を見ますと、元金は29万円程度ですが、十数年分の遅延損害金がついており請求総額はゆうに120万円を超えています。

一つの解決方法としては、支払いをしてしまうことですが、相談者は生活保護を受給しているため、この選択は不可能ということになります。

相談者の「10年以上は未払金に関する請求を受けていなかった」という申告からは、【消滅時効】の要件を満たしている可能性がありそうなので、こちらを検討していきましょう。

消滅時効とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

■時効
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

重要なポイント

訴状には以下の内容が記載されていました。

■請求の趣旨
1 被告は原告に対し,金49万円及び内金29万円に対する平成23年12月16日から支払済みまで,年20パーセントの割合による金員を支払え
2 訴訟費用は被告の負担とする

との判決並びに仮執行宣言を求める。

■請求の原因
1 訴外株式会社SFコーポレーション(旧商号「三和ファイナンス株式会社」)は被告との間で以下のとおりの金銭消費貸借包括契約を締結し、継続的に貸付とその返済の取引をした。
 契約日 平成17年12月11日 利息 29.20% 支払日毎月1日
2 前項の約定に基づき利息制限法に基づく法定金利計算書(以下、「別紙計算書」という。)のとおり貸し付けた。
3 被告は別紙計算書のとおり支払いをしていたが、平成20年8月1日に支払うべき分割金の支払いを怠ったため、同日の経過をもって期限の利益を喪失した。
4 本件約定利率は、利息制限法の範囲を超過しているため、別紙計算書のとおり利息制限法の割り合いに引き直した。
5 訴外株式会社SFコーポレーションは破産手続開始決定がされ管財人が選任された。
6 フロックスは本件債権を譲り受けて、債権譲渡通知を被告に送付した。
7 原告は社名をフロックスからクレディアに変更した。

  原告は、被告に対し、請求の趣旨記載の金員の支払いを求める。

請求の原因の中に訴状を読み解くためのヒントがいくつかあります。

請求の原因2と3には貸し付けや返済についての内容が「別紙計算書」のとおりと書いてありますので、「別紙計算書」を見ると最後に支払いをした日が分かります。実際に、「別紙計算書」を見てみると、最後の返済は平成20年6月30日でした。

請求の原因3には平成20年8月1日の経過をもって期限の利益を喪失したと書いてあります『期限の利益を喪失した』というのは、端的には、『分割払いの権利を失い、残金を一括して払わないといけなくなった』ということを指します。

消費者金融の借金であれば、消滅時効期間は、最後の返済か期限の利益を喪失した日のどちらか遅い日(本件においては期限の利益を喪失した平成20年8月2日)から5年です。

最後の返済が平成20年6月30日で、平成20年8月2日に期限の利益を喪失したということであれば、いずれにしても15年以上経過していることになります。

解決

当事務所が訴訟代理人として、裁判上で消滅時効を援用したところ裁判は取り下げられ、念のため、クレディアにも確認しましたが時効更新事由はなく時効成立・無事解決と相成りました。

このように時効期間が経過している債権でも訴訟を起こされることは多々あります。そして、裁判所から訴状が届いても、どうせ時効だろうと考えて何らの対応もせず放置してしまうと債権者の主張がすべて認められ判決が出されることになります。

その判決が確定してしまうと時効期間がリセットされてしまい、その後10年間は時効を主張することができなくなってしまいますので注意が必要です。

なお、判決が出た後でも判決書を受け取って2週間以内であれば『控訴』することにより時効を援用することができることがあります。

控訴についてはまた別の機会に触れてみようと思います。

補足

今回のケースは、法テラスを利用しての依頼であったため、当事務所の手続費用は、相談者からではなく法テラスからの援助(支払い)となりました

法テラスとは、経済的に困窮されている方のために法的手続等の費用を立て替えてくれる公的な機関になります。

また、生活保護を受給されている方であれば、法テラスに立て替えてもらった費用の償還も免除されることがあり、実際に今回のケースでは、相談者の費用負担は一切ありませんでした。

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