日本保証から通知書が届いたら

こんな相談がありました/日本保証

50代男性の方から、【弁護士法人引田法律事務所】から<受任通知書>が届いたと相談がありました。引田法律事務所がどこから委託を受けて通知書を送ってきているのかお伺いしたところ、【株式会社日本保証】とのことでした。

日本保証は、詐欺業者ではありません。【株式会社武富士】から消費者金融事業を承継した、株式会社ロプロが商号変更した法人で、JICC(株式会社日本信用情報機構)にも加盟している正規の貸金業者です。

聞くところによると、日本保証からは毎月のように書面が送られてきていたようですが、日本保証からお金を借りたことはないので、詐欺の類だろうと放っていたところ、弁護士事務所から書面が届いたので、重い腰を上げ、当事務所に相談されたということのようです。

より良い解決方法を考えましょう

引田法律事務所から届いた受任通知の前に、過去に日本保証から届いていた書面を確認しますと、書面のタイトルは日付の古いものから、<ご入金のお願い>、<通知書>、<催告書>、<最終通告書>となっていました。

基本的に記載されている情報や内容に大きな差はありませんが、この<最終通告書>には、期日までに連絡または入金がない場合は、債権管理回収業務を弁護士法人に委託すると記載されています。この期日を過ぎたため、実際に引田法律事務所から通知書が届くに至ったということでしょう。

ご請求内容
 ご請求金額 330万円
 元金分 40万円
 利息金額分 0円
 損害金金額分 270万円
 前回不足金額分 20万円
 支払の催告に係る債権の弁済期 2000年8月

ご融資の契約内容
 氏名 xxxx
 最終貸付年月日 2000年4月
 最終貸付時残高 50万円
 本書面作成時点の残存債務の額 330万円
 会員番号 xxxx
 約定利息年利率 18.000%損害金年利率 26.280%

上記に加え、書面の最下部には、※上記の債権は、貴殿が株式会社武富士との間で締結した契約にて生じた債権です。当社(旧商号:(株)ロプロ)は、2012年3月に株式会社武富士の消費者金融事業を会社分割(吸収分割)にて承継しております。

先ほどお伝えした、元々の武富士の債権について、ロプロが承継し、社名を変更した日本保証から請求をしてきた、という流れがここからも明らかです。

さて、日本保証からの通知書には他の消費者金融等と比べて、契約内容や請求内容が詳しく記載されています(引田法律事務所からの受任通知や通知書にも、ほぼ同様の情報が記載されています。)ので、請求内容、契約内容を整理して状況を明らかにしていきましょう。

先ず、元金40万円に対し損害金が270万円、損害金利率が26.280%ということですから、1年間未払いが続くと損害金が10万円余りということになります。概算ではありますが、少なく見積もっても20年以上は未払いが続いていることが窺えます。

また、最終貸付年月日が2000年4月、支払の催告に係る債権の弁済期2000年8月ということなので、2000年4月以降、2000年7月までは払っていたと予想されます。したがって、ここからも20年以上未払いが続いていることが窺えます。

仮に、この支払いの催告に係る債権の弁済期が、相談者が把握できていない裁判が確定した日付であったとしても、裁判から20年以上経過していることになります。相談者の申告では請求自体、今年に入ってからのもので、それまで20年以上書面の一枚すら届いたことがないとのことでした。

請求額からすると、そう易々と一括で清算ができる金額ではありません。一般的な解決方法としては、任意整理や、自己破産・個人再生という手続きがありますが、株式会社日本保証は、減額や利息のカットには原則応じてくれないため任意整理を行うメリットは大きくありません。金額からすると自己破産や個人再生も検討視野には入りますが、これらの手続きを行うには多大な労力と時間、費用を要することになります。諸々状況を加味すると、より負担の少ない解決方法として、「消滅時効の援用」という選択肢が有力だと考えられます。

重要なポイント

<消滅時効>とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

時効の要件
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

検討したとおり、本件の支払いは少なくとも20年以上ないものと考えられます。申告によれば、今年に入るまで書面の一枚すら届いたことがないということでしたので、この間に直接相手方と連絡をとったということもないことで間違いないでしょう。

裁判の有無を検討するにあたっては、いくつか注意点があります。

先ず、原則として、裁判は訴えられた側(被告)が裁判所からの書類(訴状等)を受け取ることを前提としており、被告が書面で反論するのに必要な期間を空けた後、定められた期日(口頭弁論期日)に実際に裁判が行われます。

もし、訴状等を受け取ったにも関わらず、期日までに被告が答弁書(訴えた側の主張に対する反論文書)を提出せず、期日にも出頭しなかったとしても裁判は進行し、この場合、被告は原告の主張をそのまま自白したものとみなされ、原告の主張を認める判決が出ることになってしまうので、書類は受け取ったが対応していないので大丈夫、ということはありえません。

では、裁判所からの書類を受け取った記憶がないという場合は安心か、と言われるとそうでもありません。訴状等の受取りは、必ずしも当事者本人の受取りが必要な訳ではありません。したがって、同居のご家族が代わりに裁判所からの書類を受け取り、そのままになっていた、というようなケースも少なくありません。こういった場合も、裁判は進行し、知らない間に判決が出てしまっているということがありえます。

これ以外にも、本来は郵便局員から手渡して受け取る<特別送達>と呼ばれる郵便方法で書類は届きますが、住所地または居所に居住していることが明らかであるにも関わらず、書類を受けとらない(または受け取れない)期間が長期になると、最終的には普通郵便や、裁判所の掲示板に貼り出すことで裁判所が訴状等を受け取ったものとみなす場合があります。

裁判の有無についての注意点

①訴状等を受け取ったことがない
 ・代わりに訴状等を受け取る親族、友人がいなかったか
 ・住所地または居所において、不在が続いていたなどの事実がなかったか
 (裁判所からの不在通知をそのままにしていなかったか)

②訴状等を受け取ったことがある
 ・裁判の期日までに答弁書を裁判所に提出したかどうか
 ・裁判の期日に出頭したかどうか  
 ・最終的に判決書、取下書などの書類が届いたかどうか

少なくとも、上記について程度は検討する必要があろうかと思います。

なお、裁判等が起こされ、確定してしまっていたら、その後は一生涯、時効にはならないかと言うと、そうではありません。裁判等が確定したところから、時効の計算は改めてスタートしますので、次の時効期間満了まで時効がリセットされてしまう事実がなければ時効になり得ます。但し、裁判が確定した後の時効期間は、5年から10年に伸長されることになるので、注意が必要です。

解決

既に債権管理業務を引田法律事務所が委託されていますので、本件については引田法律事務所から武富士時代からの取引履歴を取り寄せたところ、申告の通り10年以上支払いがないことが明らかになり、支払の催告に係る債権の弁済期については、純粋に最終支払日の翌月の支払期日が記載されているだけでした。今回のケースでは、時効を中断・更新させるだけの裁判等を相手方が起こしていなかったため、時効の要件は満たしていると判断し、内容証明郵便をもって引田法律事務所に対して消滅時効を援用しました。  その結果、支払義務は消滅し、今後の請求・督促がないことを確認し、無事解決に至りました。

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