ティー・オー・エム株式会社から訴状が届いたら

こんな相談がありました/ティー・オー・エム

今回は、千葉にお住まいの方より、札幌の裁判所から書類が届いたとのご相談を受けました。内容を確認しますと、ティー・オー・エム株式会社】札幌簡易裁判所に対して貸金請求の裁判を申立てた、ということで間違いなさそうです。

しかしながら、ティー・オー・エム株式会社(以下、ティーオーエムと言います。)という会社名自体、聞いたこともなければ、この会社からお金を借りたとこともないとのことでした。

それもそのはずで、ティーオーエムは北海道札幌市に本社を置く、貸金業登録のある正規の業者ではありますが、自社の貸付ではなく、そのほとんど(もしくは全部)が他社から買い取った債権について請求・回収を行っている会社なので、名前に聞き覚えがなくとも不思議ではありません。

一例にはなりますが、ティーオーエムから請求が来ている方は、以下の会社に心当たりがあるかもしれません。

ユニワード株式会社
日立信販株式会社
アエル株式会社
株式会社クリバース
日新信販株式会社

株式会社ニッシン
三貴商事株式会社
タイヘイ株式会社

株式会社マルフク
ディックファイナンス株式会社

オリエント信販株式会社
株式会社シーエスジー
アイク株式会社

今回の件については、訴状の記載から、当初の借入先が【アエル株式会社】だったということが明らかになりました。どうやら今回の債権は、アエルへの返済が滞って以降、裁判を起こされるまでに、株式会社センチュリー、サン優ファイナンス株式会社、せとクレジット株式会社、有限会社Conquest、株式会社Tsuiteruという会社を経由しており、最終的にティーオーエムが譲り受けたという流れのようです。

知らない会社からの請求、督促といって放っておくと、今回のように裁判を起こされることもありますし、その裁判すら無視してしまうと、いよいよ強制執行(預貯金・給料の差押えなど)のリスクを負うことになりかねません。

スマートフォンを使うペンギンのイラスト

より良い解決方法を考えましょう

前置きが長くなりましたが、どういった解決方法があるかを検討していきましょう。

訴状には必ず、<請求の趣旨>と記載されている項目があるので、請求を受けている内容(金額)がどういったものか先ずはこの記載を確認してください。

被告は原告に対し、金160万円及び内金30万円に対する令和x年x月x日から完済にいたるまで、年26.28%の割合による金員を支払え。

つまり、元金30万円だった借入が、裁判を申し立てた時点で既に160万円にまで膨れ上がっており、この後も完済するまで年率26.28%の利息を付けて支払え、というのが今回の裁判の主な請求であることが分かります。

この利率で考えると、未払いが4年ほど続いた場合に、負債が元金の倍額になる計算になるので、元金30万円が5倍超の160万円ということであれば、およそ20年の未払い期間があったということになります。仮にこれが事実であれば、この裁判は、消滅時効を援用することで解決できる可能性がありそうです。

続いて、訴状には<請求の原因>と記載されている項目があり、ここに債権発生から裁判を起こすに至る経緯、事実が記載されています。貸金請求の裁判の場合、更に、<計算書>が添付されているケースが多いので、ここから実際にいつまで払っていたか確認をしてみましょう。

日 付     ●貸付金    ●入金額
H18.5.9  60,000  
H18.7.3          27,000  
H18.8.7          21,000

先ほど計算したとおり、最後の支払いから20年近く未払いが続いていることが明らかになりました。この他に時効を中断・更新させる事由がなければ、いよいよ消滅時効の要件を満たしているということになります。

重要なポイント

消滅時効とは、過去10年内に裁判等がなく、且つ、5年以上支払もなく、相手方と直接の連絡を取っていない場合に、その権利義務を消滅させる法律効果を指します。

●時効
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

相談者の申告によれば、過去にこの件で裁判を起こされたことはなく、未払いの間にティーオーエムやその間の会社と直接コンタクトもとったことがないとのことでした。

ところで、裁判手続きと裁判外での相手方とのやり取りは別個で考える必要があります。可能性として高いものではありませんが、裁判外で消滅時効の主張をして解決したとしても、裁判所は当該事実を知ることが出来ませんので、時効について考慮されないまま裁判がそのまま進んでしまうケースも考えられます。

したがって、裁判が起こされた場合、請求に対する反論は大前提として、裁判が開かれる期日の1週間前までに<答弁書>として裁判所へ提出する必要があり、また、積極的に被告側から主張しなければ、裁判所や原告(相手方)が時効を考慮してくれることはないので注意が必要です。

解決

当事務所が代理人として、答弁書の中で消滅時効を援用したところ、ティーオーエムはこれを争わず、裁判の期日を待たずして裁判は取下げられました。

先ほど述べたとおり、裁判手続きと裁判外での相手方とのやり取りは別個で考える必要があるのは逆も然り、裁判が取り下げられたとしても、ただ単に裁判が取下げで終わったという事実(現実には取下書に取下の理由は書かれていないことが多いです)しか残らないため、裁判外でも、改めてティーオーエムに対して、以降の請求・督促がないことを確認の上、本件は無事解決に至りました。

喜ぶハムスターのキャラクター

最短60秒!無料診断!】時効援用シミュレーター

≫≫≫時効援用シミュレーターはこちらから
[最短60秒]3つの質問に答えると、あなたが時効援用できるか診断できます

事務所概要

アルスタ司法書士事務所
お電話 0120-697-096
オフィシャル:https://alsta.jp/

お問い合わせ


    アルスタ
    時効援用