クレディアから法的手続き移行のご通知が届いたら

こんな相談がありました/クレディア

今日は、【株式会社クレディア】から<法的手続きの移行のご通知>が届いたとご相談がありました。

これまでこのクレディアからたびたび通知や訪問通知が届いていたようですが、払える状況にもなく、ずっと放置していたものの、法的手続きとなると、自宅の動産や給料、口座が差し押さえられてしまうのではないかと心配に思い、焦ってご連絡をいただいたようです。

より良い解決方法を考えましょう

もしかすると、今クレディアから請求を受けている方の多くは、そもそもクレディアという名前にはあまり聞き覚えがないかもしれません。それもそのはず、元々のクレディアは1950年代から続く消費者金融でしたが、既に貸金業を廃業してしまっています。

これに対して、今のクレディアは、合併や商号変更により新たに出てきた会社であり、株式会社日本保証という会社から吸収分割により様々な古い債権の回収を行っている会社ですので、クレディアからお金を借りたという記憶はなくて当然とも言えます。

なお、この点については、届いた通知の中でも『株式会社クレディアは、株式会社日本保証との吸収分割により、金融事業の一部を承継しました。』と記載されていることからも明らかです。

さて、クレディアからの通知には以下の情報が記載されていました。

請求内容
 請求金額 300万円
 内訳 利息6000円、損害金252万円、元金49万円
契約内容
 最終貸付年月日 2006年11月
 最終貸付時残高 49万円
 約定利息年利率 27.74%
 損害金年利率 29.2%
 残存債務の額 300万円
 約定返済日 2007年3月

当初の元金額が49万ということですが、通知を出した時点では300万円という金額に膨れ上がっていることが分かります。当時の金利が27.74%、損害金率が29.2%ということですから、未払いが続くと4年と経たずして倍額になる計算になります。最終貸付日以降の返済がないと仮定すると、20年近く払っていないことになりますので、理論上は300万円もの請求を受けることは止むを得ません。

なお、この27.74%という利率については現在の法律では認められていません。厳密に言えば、その当時から認められていたわけではありませんが、利率の上限を定めた『利息制限法』と『出資法』との間に乖離があったことから、利息制限法に定められた利率以上での貸付が暗黙の了解で許容されていた時期がありました。利息制限法上の上限は超えるけれど、出資法上の上限を超えない金利、これが俗にグレーゾーンと呼ばれるものです。

グレーゾーン金利については、出資法の改正により上限利率が利息制限法に揃えられたため、以降はグレーゾーン金利での貸付は原則なくなったと言えます。また、弁護士や司法書士が利息制限法上の上限金利を超えて返済した部分を『過払い』として、消費者金融等に返還を求めるようになり、過去の借入についても清算が求められるようになりました。

【 法定利率 】
・借入額 ~10万円 上限 年20%
・借入額 10万から100万円 上限 年18%
・借入額 100万円~ 上限 年15%

しかしながら、過去の借入について、グレーゾーン金利による過払いが発生している旨は、借りている側からの主張がなければ、任意で支払うこと自体禁止されているものではありません。したがって、今回の請求について、支払って解決するという選択をするにしても、支払う金額には注意が必要です。

ところで、今回の請求については、約定返済日が2007年3月となっていることから、20年近く支払いのないことが窺えます。実際に2007年3月以降に1円も支払いがなく、これまで相手方と支払の約束など債務の存在を承認する行為がなければ、消滅時効を援用することで解決を図ることが出来る可能性があります。

【 時効の要件 】
① 5年以上支払がない
② 過去に裁判(訴訟・支払督促)を起こされていない
③ 5年以内に相手方と直接、電話などで話をしていない

重要なポイント

<時効>とは、一定期間の経過をもって権利の取得または喪失を定めた民法上のルールです。先ほどの消滅時効の要件をすべて満たしている場合は、漏れなくその債務を消滅させることが可能です。

本件については、相談者の申告並びに通知書の約定返済日の記載から、少なくとも5年以上支払いがないことが明らかです。

また、法的手続きの移行のご通知>というタイトルから、裁判手続きはまだ行われていないと考えられます。なお、クレディアからの通知については、裁判手続きが既に行われており、且つ、その裁判手続きが確定している場合は、書面の中で『裁判所名』『裁判の事件番号』が記載されていることが多いため、この点も注意して確認した方が良いでしょう。

最後に、『5年以上相手方と直接、電話などで話をしていない』という点について、これは<債務承認>と呼ばれるものになりますが、債務承認とは、時効の利益を受ける者(債務者)が、時効期間の満了までに、相手方(債権者)に対して、その権利の存在を認める行為をいいます。

たとえば、『〇月に〇〇円支払う』や、『〇〇を理由に支払えない』、『〇〇まで待って欲しい』など、債務の存在を前提とした発言は全て債務承認にあたることになります。無論、こういった口頭でのやりとり以外にも、『和解書面の取り交わし』や、『(1円でも)支払い』があった場合も債務承認があったとして、時効はリセットされてしまいます。

債務承認は、<時効>の存在を知っているか否かを問いません。また、明確な発言でなくとも、いわゆる観念の通知で足りることから、全体を通して債務を承認していると認められるのであれば、時効はリセットされてしまう可能性があります。

したがって、時効で解決を図りたいと考えているのであれば、どのような事情があったとしても、相手方とコンタクトを取ることは、こちら側にメリットは一つもないと断言できますので、焦って連絡してしまわないように気をつけなければなりません。

この点、本件については、たびたび通知や訪問通知が届いていたようですが、払える状況にもなく、ずっと放置していたとありますので、コンタクトを取る前に連絡をいただいたようで一安心でした。

民法の条文には『時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。』とありますので、勝手に時効となり、債権者から請求が来なくなるということはありません。つまり、時効の権利を積極的に主張する必要があるということです。

解決

当事務所が代理人として、クレディアに連絡をし、取引履歴を取り寄せたところ、5年以上支払いがなく、相手方との間で時効を中断・更新させるだけの裁判手続きや直接のコンタクトはなかったこということが確認できました。

上述のように時効は、当事者が援用しなければ、期間の経過とともに勝手に債権者から請求が来なくなるということはないため、時効の権利を積極的に主張する必要があります。このため、当事務所にて改めて内容証明郵便をもってクレディアに対して消滅時効を援用し、これにより今後の請求・督促は確定的になくなり、本件は無事解決に至りました。 

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